都内の銭湯の値上げは6年ぶり(写真はイメージ)

東京都公衆浴場対策協議会は5月26日、都内の銭湯の大人料金(12歳以上の上限額を450円から10円引き上げて460円とするよう舛添要一知事に答申した。都内における銭湯の値上げは6年ぶりで、7月1日から新料金が適用される見通しとなっている。

税負担以外の費用は反映しない

現行の入浴料金は2008年6月の改定後、5年間据え置きとなっている。2014年4月1日以後、消費税が5%から8%に引き上げられたことを受け、本協議会としては、公衆浴場入浴料金に係る消費税は価格への転嫁を通じて最終的に消費者が負担するものであることから、消費税率引き上げに伴う税負担相当額を入浴料金に転嫁することとした。

なお、円安等の影響も相まって、燃料費や光熱費が大幅に値上がりするなど、公衆浴場経営は厳しい状態となっているが、公衆浴場利用者への負担増に配慮し、消費税率引き上げに伴う税負担以外の費用の増分については、入浴料金に反映しないこととした。

東京オリンピックを見据えた対策を

ほとんどの人が自宅で入浴できる現在において、業界全体としてはさらなる努力が求められる。また、2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催や、超高齢社会の進展など、社会情勢の変化を的確に捉え、本協議会は公衆浴場業界に以下の意見を表明している。

1)料金の値上げによる利用者の減少が懸念されることから、継続利用者に定着している共通入浴券(回数券)の価格の据え置き等について措置すること。

2)公衆浴場の利用者サービスの向上を図るため、施設内の禁煙化を早急に達成するとともに、無料で使えるボディーソープやシャンプー等の浴室への常備、心のこもった接客など、浴場利用者が心地よさを感じられるサービスの提供・充実を図ること。なお、施設内の禁煙化およびボディーソープやシャンプー等の常備については、状況改善に向けた実施計画を作成し、浴場組合の責任により、適切に進捗管理を行うこと。

3)公衆浴場の利用者を増やしていくため、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用した若者や子育て世帯に向けた広報宣伝の強化や、ホームページの多言語化などによる外国人観光客への積極的な情報発信、体験入浴の環境整備等に取り組むこと。

4)公衆浴場が地域に根ざした拠点施設として、その社会的役割を果たしていくため、高齢者の消費者被害を防止する啓発事業や、ミニデイサービスなどの介護予防や健康体操等の住民の健康増進事業に、引き続き、積極的に取り組むこと。

5)公衆浴場施設の耐震化を図り、利用者の安心・安全を確保していくとともに、使用燃料の都市ガス等への転換、コージェネレーション設備や太陽光発電システムの導入など、エネルギー利用の高効率化・最適化を進め、二酸化炭素排出削減の着実な推進に取り組むこと。

都内の公衆浴場数及び入浴料金統制額の推移(2014年4月末現在、浴場数は各年12月末現在、自家風呂保有率は、総務省が5年に1回実施する「住宅・土地統計調査」による)

なお、自家風呂保有率が限りなく100%に近い現状において、公衆浴場は年々減少しており、2014年4月末では696軒と前年より10軒減少している。

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