経営コンサルティングのリンクアンドモチベーションが運営する研究機関のモチベーションエンジニアリング研究所はこのほど、「2014年新入社員のモチベーション」に関するアンケート調査の結果を公表した。

「あなたは今の会社を選ぶにあたり、どのようなことを求めましたか?」(経年変化)

同調査は、2014年度入社の新入社員で、同社が提供する新入社員研修の受講者を対象に、3月29日から4月22日にかけて無記名マークシート形式で実施。4,072人の有効回答を得た。

安定志向を強める傾向

「入社動機」に関する質問では、「仕事内容」「事業内容」を重視する一方で、「会社基盤」「制度待遇」の数値が低い結果となった。これは、単年度の結果だけを見れば、過去2年の傾向と大きな差はなかった。

経年変化に注目をすると、相対的に高かった「仕事内容」「事業内容」の数値は低下。一方で、相対的に低かった「施設環境」「制度待遇」「会社基盤」の数値は上昇した。この結果から、過去2年の新入社員よりも安定志向が強くなっている可能性が考えられるとしている。

安心できる環境と答えを求める傾向

「有効なモチベーションマネジメント」に関する質問では、"ありがとうの言葉"や"仕事を通しての貢献実感"、"模範となる上司や先輩"などの「サンクス効果」「ロールモデル効果」の数値が最も高くなった。

「あなたは仕事をするにあたり、どのような状況でモチベーションが上がると思いますか?」(経年変化・上位8項目)

また、"高業績者のコミュニティへの参画"や"選抜研修への参加"、"目標を他者に宣言する機会"や"他者を指導する立場"といった「ファーストクラス効果」「コミットメント効果」の数値が最も低くなった。

「あなたは仕事をするにあたり、どのような状況でモチベーションが上がると思いますか?」(経年変化・下位8項目)

経年変化では、"未経験の仕事において上司や先輩が伴走してくれること"や、"身近な先輩が悩み相談にのってくれること"など「エスコート効果」の数値が最も上昇。"切磋琢磨できるライバルの存在"や"ライバルと競い合う場があること"といった「ライバル効果」の数値が最も低下した。

これらの結果から、今年の新入社員たちは、「競争環境」や「適度にプレッシャーのある機会や立場」を提供されることよりも、伴走してくれる上司や模範となる先輩など「安心できる環境」と、ありがとうの言葉や貢献実感など「仕事の答え」を求める傾向が強くなっていると分析している。

同調査の結果から、新入社員たちの傾向は、「安定志向を強め、安心できる環境と答えを求める傾向が強い」ことと推察している。そこで、育成の鍵は、「支援内容の見極め」と 「答えを教わるのではなく生み出すマインドへの意識転換」だとしている。