川崎重工は5月29日、Kawasaki Heavy Industries(Singapore) および中国の南車青島四方機車車両股■有限公司(■印は人偏に「分」の文字)と共同で、シンガポールのLand Transport Authorityからトムソン線および東地区線向け地下鉄電車364両(91編成)を受注したと発表した。

シンガポールでは、2030年までに軌道系都市交通システムを現行の2倍(178kmから360km)に延伸する計画が策定され、新規路線の建設、既存線の延伸および新型車両の導入による利便性の向上とピーク時の混雑緩和が進められている。

トムソン線と東地区線は合わせて全長43km、南北に点在する住宅地域および東部地区と市中心部を結ぶ無人運転の全線地下の新規路線として建設され、市中心部へのアクセス向上と所要時間短縮を実現する。

今回受注した車両は4両編成で、最高速度を時速100kmに向上、1両ドア数を片側5口に増加、最新の列車情報システムを搭載した次世代無人運転車両として同路線に投入される。

車両のイメージ

受注金額は約600億円で、川崎重工がプロジェクト全体の統括、設計、台車や主要機器の供給を行い、南車四方が完成車両の製作、工場試験および信号・通信などとのシステム検証試験、KHI-SINが車両基地への搬入や納入整備、現地試験を担当し、2018年から2021年にかけてシンガポールへ納入する予定となっている。

これまで川崎重工は、他社との共同受注を含めて、LTA向けに地下鉄電車を開業当初の1986年から2013年までに累計678両納入した実績を有しており、さらに現在製造中の車両を含め2016年までに204両を順次納入する予定。