富士通 代表取締役社長の山本正己氏

富士通は5月29日、2014年度経営方針説明会を開催。この中で代表取締役社長の山本正己氏は、2016年度の利益目標として1500億円以上を掲げた。

山本氏は冒頭、「半導体、ユビキタスビジネス、海外などの構造改革は2013年度である程度めどが付いた。2014年度以降は、富士通の得意分野であるテクノロジーソリューションを通じた利益成長を図っていきたい」と述べた。

同氏は2014-2016年度における成長戦略として、「企業向けICT領域の拡大」、「新たなICT活用領域(ビジネスイノベーション)の拡大」、「グローバルでのビジネス領域の拡大」の3つ挙げた。

2014-2016中期経営計画における3つの成長戦略

ビジネスイノベーションの領域では、同氏はビッグデータを活用した現場でのビジネス革新、売上げ・利益に直結するICTの活用がますます重要になると指摘。

具体的なテクノロジー・サービスとして、クラウド、ビッグデータ、SDN、IoT、モバイルソリューション、セキュリティ、システムイングレーションなどを挙げた。

ビジネスイノベーションの領域での取り組み

クラウドビジネスについては、2013年度の1,870億円の売上げから2016年度には3,500億円へ拡大するという。

クラウドビジネスでの売上げ推移

クラウドによって今後SIの売上げが減少するのではないかという記者の質問に対して山本氏は、「従来の手組みによるSIは減少することは予想しており、パッケージ化などを行い、運用も含めたサービス提供に移行していくことが課題となる。今後は、受注型から提案型にシフトしていかなくてはならない。そのための手は打ってある」と述べた。

また、企業モバイルビジネスでは、垂直統合や保険・教育分野などのカスタマイズなどでビジネスを拡大し、2013年度1,570億円だった売上げを2016年度にはアプリケーション、サービス領域を活用し、2,600億円に売上げを拡大する予定だ。

企業モバイルビジネスの売上げ推移

新たなICT活用領域(ビジネスイノベーション)の拡大では、「健康・医療」、「交通・車」、「食・農業」領域に注力していくという。

新たなICT活用領域

健康・医療では、すでに電子カルテシステムで国内シェア1位を獲得しており、今後は、次世代医療分野での事業展開を図り、生体シュミレータ、IT創薬、次世代電子カルテ、バイタルセンシングなどに注力していくという。

次世代医療に向けた事業展開

また、2016年度1月施行予定のマイナンバー制度に向けた社会基盤制度の構築も推進していくという。

グローバルビジネスに向けた強化では、事業体制の見直しを図り、海外区分をなくし、日本を含む5リージョン(Japan、EMEIA、Americas、Asia、Oceania)体制に再編するという。そのために、グローバルでの共通基盤を構築し、M&Aも積極的に行うという。

5リージョン(Japan、EMEIA、Americas、Asia、Oceania)体制に再編

山本氏は、「世界をフラット体制し、リージョンの権限を強化する。ただ、すでにIBMなどでは実施しており、世界展開に向けグローバルカンパニーと同じ体制が整った」と述べた。

海外展開では特にASEAN市場を強化、ODAや国家プロジェクト、支店開設によるミャンミュアーでのビジネス拡大、電子カルテなど日本初のソリューション展開などを図っていくという。

ASEAN市場を強化

そして2016年度には、日本以外の4リージョンにおいて、3,000億円規模の売上げ拡大をねらう。

富士通では、これらの施策により、2016年度には2,500億円以上の営業利益、1500億円以上の当期利益獲得を目指す。

中期目標

利益成長ロードマップ