東北大学は5月26日、無彩色の偏光板を用いて高品位な紙のような白色表示を可能とする反射型液晶ディスプレイを開発したと発表した。

同成果は、同大大学院 工学研究科の藤掛英夫教授、石鍋隆宏准教授らによるもの。詳細は、6月1日より米国San Diegoにて開催される「Society for Information Display International Symposium」にて発表される予定。

太陽光などの自然光を光源として、その反射によって画像を表示する反射型液晶ディスプレイは、バックライトが不要なため、消費電力が少なく、薄く、軽いという特徴があり、近年、モバイル機器用ディスプレイとして注目されている。しかし、バックライトを用いる従来の透過型液晶ディスプレイのようにバックライトによる表示色の調整ができないことから、使用する偏光板の波長特性がそのまま表示色となってしまう。このため、従来の偏光板を使用した反射型液晶ディスプレイでは、白表示が緑黄色がかり、また、黒表示が青みがかったものになるという問題があった。

この課題を解決するため、新しい2色性色素を合成して光の吸収波長を制御するとともに、色素の分子配向性を向上させることにより、平行および直交透過率が可視光領域において、一定な無彩色偏光板を開発することに成功した。この偏光板と、これまで開発を進めてきた光拡散フィルム技術により、表示光の配光分布を精密に制御したデバイス構造を考案し、高い反射率で高品位な紙のような白色表示を実現するとともに、高いコントラストと動画表示能力を備えた低消費電力の反射型液晶ディスプレイを実現したという。

同ディスプレイは、携帯型情報端末、電子値札、車載用ディスプレイ、デジタルサイネージなどへの応用が可能であり、ディスプレイの低消費電力化に繋がるとしている。

開発された反射型液晶ディスプレイ。(左)開発品、(右)従来品。背景に見えるのは従来の電子ペーパーディスプレイの画面