映画『ぼくたちの家族』の初日舞台あいさつが24日、都内で行われ、キャストの妻夫木聡、池松壮亮、原田美枝子、長塚京三、黒川芽以と石井裕也監督が出席した。

左から、長塚京三、原田美枝子、妻夫木聡、池松壮亮、黒川芽以

早見和真の自伝的小説を原作にした同映画は、『舟を編む』(2013年)などを手掛けた石井裕也監督が"家族"を描いた作品。脳腫瘍が見つかり、余命一週間と宣告された若菜家の母・玲子(原田)。記憶が曖昧になり家族への不満や本音を暴露する玲子を前に、父・克明(長塚)、長男・浩介(妻夫木)、次男・俊平(池松)の男3人は、団結せざるを得なくなる――というストーリーで、映画は全国公開中。

本作を"渾身の一作"だと自負する石井監督は、「どうしても見て欲しかった映画。一言では言い表せないけど、何かを感じ取ってもらえると思う」と胸を張り、心を込めて作ったと言う主演の妻夫木も「生きてる人間にとって、家族とは向き合わざるを得ない永遠のテーマ。家族は不完全だから、手を取り合うし愛おしくもある」と熱弁。そんな家族の中心にいた原田が、「石井監督は若いけど、俳優がやることをちゃんと見ていて写し取ってくれる。良い息子が2人ともう1人息子がいた」と笑顔で振り返ると、長塚は「4人と言って欲しかった……」としょげて笑いを誘っていた。

また、舞台あいさつには、原作の早見氏も出席し、自身の体験を元にした本作に「石井監督の手に渡って映画になった。少しでもたくさんの人の心に響いてくれたら、こんなにうれしいことはありません」と感無量。早見氏の母親は映画の完成を見ずに亡くなったそうで、池松が「早見さんが背負ったものを分かち合う作業だった。後悔は、早見さんのお母さんが間に合わなかったこと」と言うと、原田は「きっと今日は喜んで頂けてると思う」と微笑んだ。報道陣の記念撮影では、妻夫木自ら、「僕たちの写真を撮って、ツイッターで広めて」と観客に撮影を許可する場面もあり、最後は「言葉を超えた力を持っている映画なので、絶対に何かを感じるはず」と熱く語っていた。