OpenZFS

ZFSのオリジナル開発者のひとりであるMatt Ahrens氏は5月17日(米国時間)、「BSDCan2014: OpenZFS: upcoming features and performance enhancements」においてOpenZFSで導入された新機能を伝えた。ZFSは2001年に開発がはじまったファイルシステム。2005年にはZFSのソースコードが公開され、2008年にはFreeBSDへ移植された。2013年にはillumos、FreeBSD、Linux、Mac OS Xやオープンソース版ZFSの開発者らによって「OpenZFS」が発足され、同年Linux向けのネイティブなZFS実装も登場。2014年には「OpenZFS for Mac OS X」が登場している。

発表では今後の新しい開発体制、今後登場が予定されている新機能、または最新の機能として最新版に導入されている機能などが紹介された。紹介された主な内容は次のとおり。

  • 開発および移植体勢の変更。現在はillumos実装をFreeBSDおよびLinuxへ移植。LinuxからさらにMac OS Xへ移植するといった段取りを踏んでいるが、今後はOpenZFSを中心とし、そこから直接illumos、FreeBSD、Linux、Mac OS Xへ移植する開発体制へ変更する
  • send/receiveのレジューム機能の実現。現在はsend/receiveが完成しなかった場合最初から作業をやり直す必要があるが、今後は途中で停止した場合には途中から再開できるようになる
  • Smoother Write Latencyの改善。ZFSでは5,600 io/sおよび異常値が10秒だったが、これがOpenZFSでは5,900 io/sおよび異常値30msへと改善されている
  • LZ4 Compressionの導入。圧縮関連の機能が向上しているほか、L2ARCに適用することでファイルシステム全体のパフォーマンスが向上している

ZFSはもともとSun Microsystemsのもとで開発されてきたが、Sun MicrosoftはOracleに買収され、Oracleは2010年にはZFSの提供を停止する。これを受けてオープンソース版ZFSの開発を実質的に引きついだプロジェクトがillumosとなる。このためillumosで開発しほかのオペレーティングシステムへ移植するという開発体制になっていたが、今後はOpenZFSでの開発を中心にほかのすべてのオペレーティングシステムへ同列に移植作業が実施されることになる。

現在はオペレーティングシステムごとにさまざまなファイルシステムが使われているが、OpenZFSは複数のオペレーティングシステムに渡って互換性のある、スナップショットやプールの相互運用が可能なファイルシステムとしてデファクトスタンダードの位置を獲得していく可能性がある。