米Appleの日本法人と韓国サムスン電子が通信技術関連の特許を巡って争っている訴訟の控訴審判決で、知的財産高裁は16日、サムスン電子が求めていた販売の差し止めについては権利の濫用であるとして、一審と同様に請求を棄却し、損害賠償請求についてもライセンス料相当額を超える部分では認められないとの判断を示した。

本件については、一審での東京地方裁判所の、損害賠償請求権をすべて認めなかった判決を変更し、サムスン電子側のライセンス料相当額として995万円の損害賠償請求権を認めた。ただし、アップルに対し、それ以上の請求はできないという判断を示している。

訴訟の対象はアップルのiPhone 4などで使われている通信技術で、知的財産高裁は同社がサムスン電子の特許技術を使っていることを認めたが、製品の販売の差し止めについては権利の濫用に当たり認められないとして、一審判決を支持した。

判決を受け、アップルは、「裁判所がサムスン電子に対して、国際特許制度の整合性を守ろうと毅然とした対応をとったことを高く賞賛いたします。サムスン電子は、特許が問題ではないことを裁判所に納得させようと、無謀にも世界中の知的財産権を無視してきました。本件によるサムスン電子の損害は、本来彼らが受けるべきものであったと考えます」とコメントしている。