エー・ピーカンパニーが運営する鮮魚居酒屋チェーン「四十八漁場」「日本橋 墨之栄」「魚米」ではこのほど、宮城県石巻市雄勝産の牡蠣「夢牡蠣」の提供を開始した。

「夢牡蠣」

雄勝の牡蠣は夏が旬?

一般的に真牡蠣の旬は「R」のつく月・9月(September)から4月(April)までと言われているが、現場の漁師は必ずしもそうは考えないという。

宮城県石巻市雄勝で牡蠣養殖を行う海遊の伊藤浩光氏によると、雄勝の牡蠣は「秋口に産卵を控え、栄養をたっぷりと蓄える5月~8月が1番の食べごろ」だそう。春になり森が豊かになると、海中に豊かな湧水が流れ込むので、初夏にかけてより大きくおいしい牡蠣が育つという。

また、広島大学の羽蔵義雄教授の研究では、牡蠣のうま味成分であるグリコーゲンとアミノ酸も、春から初夏にかけて最大になることがわかっている。

伊藤浩光氏

復興の「夢」を込めた牡蠣

「夢牡蠣」の育つ雄勝湾は山々に囲まれており、森からのミネラルを含んだ地下水が海底から湧き出す。その湧水によって、牡蠣の育成に不可欠なプランクトンに恵まれているほか、水深が深く水温の変化も少ないため、牡蠣が大きくなるまで長期間育てるのに適した環境となっている。

東日本の牡蠣は2~3年物が多いとされているが、3~4年かけてひときわ大きく育った牡蠣を、伊藤氏は「夢牡蠣」と呼んでいる。雄勝で11年間牡蠣養殖を行っている伊藤氏は、震災直後、震災を乗り越えた牡蠣の稚貝をつかって牡蠣養殖を再開。4年目となる現在まで大きく育った牡蠣を、復興や漁業発展の夢と重ねて「夢牡蠣」と名付けた。

店舗で提供する夢牡蠣

大ぶりの「夢牡蠣」を生で提供

居酒屋「四十八漁場」「日本橋 墨之栄」「魚米」は、「夢牡蠣」を生で提供する。価格は「四十八漁場」「魚米」で1個680円(税別)、「日本橋 墨之栄」で1個780円(税別)となる。

重さにして250g以上(殻含む)の「夢牡蠣」は、個体差はあるが平均15cm前後の大きさ。大ぶりの牡蠣を、素材の味がそのまま楽しめる生で食べるのが同店おすすめの食べ方となっている。

なお、「夢牡蠣」は季節限定メニューの扱いで、8月中旬までの提供を予定。なくなり次第終了となる。