IDTは5月8日、スマートグリッドや産業オートメーション用途の性能、機能性、コストの要求を満たすように最適化されたEthernet/IEEE 1588向けタイミングデバイス「8V89316/7」2品種を発表した。

「8V89316/7」は、IEEE 1588による時間伝送の精度と信頼性を改善するとともに、Ethernet向けデジタルPLL(DPLL)とデジタル制御発振器(DCO)を1チップに統合することにより重要な柔軟性をもたらす。IEEE 1588ベースの透過クロック、境界クロック、通常クロックの信頼性と時間精度を改善するため、Ethernet向けの低ジッタPLLで、Ethernet物理層を介してスイッチとルータの周波数を同期することを目的に使用されるという。

「8V89316」が、QSGMII(Quad Serial Gigabit Media Independent Interface)と1GbEインタフェースに適したクロックを生成するのに対し、超低ジッタの「8V89317」は10GbEインタフェースに適しており、毎秒1パルス(1PPS)のGPSクロックにロックする機能を実現している。両品種とも、柔軟性の向上のためにDOCを搭載しており、入力されるEthernetのクロックにロックするか、あるいは、独自のIEEE 1588ベースのクロックを合成できる。このIEEE 1588ベースのクロックは、システム内の別のデバイスが周波数のリファレンスとして使用することもできる。

「8V89317」はGPSレシーバからの1PPSの周波数リファレンスにロックできる。これにより、同期元に有線や光ファイバでアクセスする必要がなく、ローカルネットワークのマスタークロックの一部として使用できる。そして、GPSのタイミングを使用することにより、クロックの物理的位置にさらに柔軟に対応できる他、タイミングネットワークをあらゆる場所に拡げる必要がなくなるため、いわゆる"タイミングアイランド"のための設置コストを削減できる。

「8V89316」は、10kHz~20MHzまでの積分範囲で650fs RMSを下回る位相ジッタを実現する。そのため、1GEthernetPHYとQSGMIIに適したものとなっている。「8V89317」の位相ジッタは、10kHz~20MHzまでの積分範囲で300フェムト秒(fs)RMSを下回る。これは、最も厳しい10G/40GのEthernetPHYジッタ性能要件を満たしている。

なお、パッケージは、15mm角の196ボールCABGA。価格は1000ユニット購入時で「8V89316」が9.46ドル、「8V89317」が18.30ドル。すでにサンプル出荷を開始している。

IDTのスマートグリッドや産業オートメーション用途の要求を満たすように最適化されたEthernet/IEEE 1588向けタイミングデバイス「8V89316/7」