5月に入り、携帯各社が夏商戦に向けた新機種発表を控えるなか、スマートフォンの売れ筋ランキングでも変動が起きている。ポイントは、長らくランキング上位を独占していたiPhoneの人気が落ち着き、Androidスマートフォンが復調の兆しを見せていることだ。

全国の家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」が5月2日に発表した2014年4月の携帯電話ランキングでは、KDDI(au)の「Xperia Z1 SOL23」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)が、各社の「iPhone 5s」を抑えて首位となった。また、直近の週間ランキング(集計期間:4月28日~5月4日)でも、Xperia Z1 SOL23が3週連続で首位となっており、売れ行きは依然好調のようだ。

「BCNランキング」の4月の携帯電話ランキングで首位となったKDDI(au)の「Xperia Z1 SOL23」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)

BCNの月間ランキングでは、2013年10月以降、首位となるのは各社のiPhone 5sという状況が続いており、Androidスマートフォンが首位となったのは、2013年8月のNTTドコモの「Xperia A SO-04E」以来、実に8カ月ぶりのことになる。これまでも、ドコモの「Xperia Z1 SO-01F」や「Xperia Z1 f SO-02F」が、週間ランキングで"瞬間風速"的に1位となることはあったが、いずれも月間ランキングではiPhone 5sの牙城を崩すことができなかった。

今回、Xperia Z1 SOL23が月間ランキングで首位になったことは、異例のiPhone人気が一旦落ち着き、Androidスマートフォンを含めた幅広い選択肢から消費者が端末を吟味するようになった傾向を示していると言える。背景としては、各社のiPhone 5s/5c販売における"キャッシュバック合戦"が3月をもって収束したことが挙げられるが、同時に、"ファブレット"やカメラ、防水機能などのAndroidスマートフォンの差別化要素が明確になってきたことも要因のひとつだろう。

Xperia Z1 SOL23は、約5インチのフルHD(1920×1080ドット)ディスプレイを搭載したAndroidスマートフォン。Xperia史上最高となる約2,070万画素カメラを搭載し、合計61枚の高速連写が可能など、高度なカメラ機能が最大の特徴。また、ディスプレイには広色域で美しいリアルな映像を実現する「トリルミナス ディスプレイ for mobile」を採用し、約5インチの大画面で臨場感のある映像を楽しむことができる。

そのほか、ワンセグ、フルセグ、おサイフケータイ、NFC、赤外線、Bluetooth 4.0などに対応するほか、IPX5/IPX8等級の防水、IP5X等級の防塵性能も備えている。寸法・重量は約74(W)×144(H)×8.5(D)mm・約171gで、バッテリー容量は3,000mAh。ハイスペックな端末ながら、日本のユーザーに好まれる機能を全て搭載しており、iPhone 5sを抑えて売れ筋ランキングで首位になった理由もうなずける。

なお、既報のとおり、KDDIでは5月8日に2014夏モデルの発表会を開催する。同社は4月21日に、LTEの次世代高速通信規格「LTE-Advanced」の技術であるキャリアアグリケーション(CA)を今夏より日本で初めて導入することを発表しており、CAに対応したスマートフォンも同発表会で登場することが予想される。

また、ソフトバンクでは夏モデルの発表会は実施しない方針で、順次夏モデルを発表していく予定だが、ドコモは5月14日に夏モデルの発表会を開催する予定となっており、今後、各社が夏商戦に投入するAndroidスマートフォンが続々と明らかになる見込みだ。

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本稿でも紹介した通り、BCNランキングの4月の携帯電話ランキングでは、auのXperia Z1 SOL23が首位となり、約半年ぶりにiPhoneが首位から陥落した。長らく続いたiPhone人気が落ち着き、Androidスマートフォンに復調の兆しが見えるなか、各社が夏モデルでどのような端末を投入し、Androidならではの魅力を打ち出してくるのか注目しておきたい。