ICT総研は5月2日、都心部オフィスビルにおけるスマートフォン電波状況実測調査の結果を発表した。

今回、都心部の40ヵ所のオフィスビルの「1階」と「上階」(一般人が立ち入り可能な最上階)それぞれ40地点ずつ合計80地点で測定した。通信速度は、測定アプリ「RBB TODAY SPEED TEST」を利用して、下り通信速度、上り通信速度を各3回ずつ測定した。測定端末には、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルは「iPhone5c」、イー・モバイルは「EM01F」を用いた。

結果、1階のLTE受信比率が4社平均で96.3%だったのに対し、上階では85.6%とやや差が付いた。ビル上階では、地上付近からの電波が届きにくいため、ビル内部などに電波対策がされているかどうかが受信状況に影響していると、同社では見ている。

都心部オフィスビル LTE比率 資料:ICT総研

都心部オフィスビル 下り平均通信速度 資料:ICT総研

都心部オフィスビル 上り平均通信速度 資料:ICT総研

エリア別では、丸の内エリアや大手町エリアでビル上階のLTE比率が特に低い傾向が見られ、また、auが唯一1階と上階の双方で全地点においてLTEを受信できた。

携帯電話キャリア別では、NTTドコモはLTE受信比率がビル1階では90.0%、ビル上階では85.0%と、共に4社平均を下回った。ドコモの通信速度は、下り速度が4社平均と同程度、上り速度が平均を下回った。ただし、下り速度は1階では17.79Mbps、上階では17.88Mbps、上り速度が1階では4.84Mbps、上階では5.46Mbpsと、1階と上階の速度差が少なく、安定している。

auは、下りの通信速度が1階で18.35Mbps(4社中2位)、上階が18.99Mbps(4社中トップ)、上りの通信速度がビル1階で5.52Mbps(4社中2位)、ビル上階が6.07Mbps(4社中2位)と全体的に速度が安定している。

上りの通信速度はトップに差を付けられたが、1階よりも電波状態の面で悪条件だと考えられる上階で、通信速度が安定している点が特徴的だ。また、今回測定した合計80地点すべてでLTEを受信できた。

LTE受信比率100%はauだけで、同社がセールスポイントとするプラチナバンド(800MHz帯)でのLTE網が都心部のオフィスビル街でも整備されているものと考えられる。

ソフトバンクは、LTE(4G)受信比率が1階で100%、上階で90.0%(4社中2位)、下りの通信速度が1階で19.27Mbps(4社中トップ)、上階で18.14Mbps(4社中2位)、上りの通信速度がビル1階で10.56Mbps(4社中トップ)、ビル上階で9.31Mbps(4社中トップ)となった。LTE(4G)受信比率と通信速度の双方において、全体的にすぐれた結果を記録した。

また、ソフトバンクグループのイー・モバイルは、1階はLTE比率95.0%と4社平均と同水準を記録したが、ビル上階でのLTE比率や通信速度など、全体的に他社水準を下回る結果となった。測定に使用した端末「EM01F」は、ソフトバンクのLTE(4G)電波を受信できる端末だが、ソフトバンクのiPhone5cと比べると快適に受信できるエリアが限られていることが実感された。