日本IBは4月24日、POWERブランドの新世代プロセッサ「POWER8」を発表。合わせて、POWER8を搭載するエントリー向けサーバ「IBM Power Systems Sクラス」5機種を6月10日より順次出荷すると発表した。

POWER8チップ(左)とソケットに合わせた2つのチップを搭載するデュアル・チップ・モジュ-ル(右)

「POWER8」は、22ナノのプロセスルールで、チップあたりのコア数は6。ソケットはデュアル・チップ・モジュ-ルにより2つのチップを搭載。そのため、ソケットあたりの最大コア数は12となる(サーバ製品によっては、一部のコアを利用不可にして、コア数を減らしたモデルもある)。

POWER8チップハイライト

POWERプロセッサの進化

コアあたりの最大同時スレッド数はPOWER7の4から倍増され8となり、L1、L2キャッシュ容量もそれぞれ64KB、512KBと倍増させている。メモリバンド幅もPOWER7の2倍以上の230GB/秒としている。

他のプロセッサとの諸元比較

また、メモリバンド幅の拡大に対応するため、メモリ上にあらたに128MB(eDRAM)のキャッシュ(メモリーバッファ)を設けている。

メモリバッファ

そのほか、PCIe Gen3のインタフェースをPOWERに統合したほか、外部アクセラレーターの仮想アドレス空間の処理をPOWER上で実行するCAPI(Coherent Accelerator Processor Interface)を搭載。OSやデバイスドライバのオーバーヘッドを軽減する。なお、CAPIはアクセラレーター側での対応が必要で、現時点で正式サポートしているものはないが、ベンダーにより検証作業が進められている状況だという。

PCIe Gen3インタフェースを統合

CAPI

同社によれば、これらの機能強化は、インメモリ処理など、ビッグデータを超高速処理するためにデザインされたものだという。

POWER8を搭載したサーバ「IBM PowerSystems Sクラス」では、Linux専用モデル「Power S812L(1ソケット、最大12コア、2U)」、「Power S822L(2ソケット、最大24コア、2U)」 、およびLinuxに加えAIXとIBM iの複数オペレーティング・システムに対応した「Power S822(2ソケット、最大20コア、2U)」、「Power S814(1ソケット、最大8コア、4U)」、「Power S824(2ソケット、最大24コア、4U)」の計5機種がラインナップされた。価格等は今後発表される。

「IBM PowerSystems Sクラス」のラインナップ

「Power S824」

同社によれば、「Power Systems Sクラス」は、最新のx86サーバと比較して2倍のスループットを実現しているという。

「Power Systems Sクラス」上で動作する仮想化システムは、これまでのPowerVMに加え、新たにPowerKVMをサポート。これにより、Red HatおよびSUSE Linuxに加え、Ubuntu Serverが利用可能になっている。

IBMは、Google、NVIDIA、Mellanox、およびTyanの5社でOpenPOWER Foundationを設立したが、Foundation参加企業は今回25社に拡大されたという。同社は年内に、OpenPOWERのハードウェアとソフトウェア・スタックを活用したシステムをSoftLayerに展開する予定だという。

OpenPOWER Foundationのメンバー

POWER8プロセッサを手にする日本IBM 社長 マーティン・イェッター氏

日本IBM 社長 マーティン・イェッター氏は「POWER8アーキテクチャは世界一のテクノロジーであり、世界最初のオープンなサーバプラットフォームだ。IBMはOpenPOWER Foundationのメンバーでもある。これは、テクノロジーとアーキテクチャーの両方を開放するということだ。POWER8のファミリーはスケールアウト型であるとともに、価格競争力もある。処理性能も非常に高く、最新のx86サーバよりも50倍早くアナリティクスを処理できる」と述べた。

同社はPower Systemsの拡販施策として、6月末までの期間限定でLinux専用機を88.8万円で提供するほか、1000人体制の営業活動を全国エリアに展開する。また、PowerLinuxセンターでPOWER8推進を強化し、Linux on Power対応のISVソリューションの無償支援を行うという。

Power Systemsの拡販施策