もし上司に「来月からアジアに行ってくれ」と言われたら…移動がスムーズにいかないことを、念頭に置いた方がいい。

移動がスムーズにいかないアジア

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指定のタクシー会社であれば問題がないかというと、万人に問題がないわけではない。日本ではありえないが、あなたに少しでも過失があれば、あなたの責任となる。例えば乗車するとき、行き先を正確に伝えて相手のあいまいな質問については、簡単にYesと言わないことだ。

相手も、町のすべてを知っているわけではない。特にアジアは、同じホテルでも系列や支店のような形で、同名のホテルが複数ある。だから、予約したホテルの名前をドライバーにきちんと伝えて確認することが、重要だ。

「正しいことは正しい」と主張する

私も経験したことがあるが、早朝にホテルから、事前にホテルで予約した信頼のおけるタクシーに乗ったときのことだ。

「○○空港へ」と言って空港に向かってもらったが、今やアジアの大都市は、同じ空港でもターミナルが複数に分かれている。日本的に言えば「当然、自分の乗るターミナルに行ってくれると思うし、わからなければ聞いてくる」と思うだろうが、危険だ。相手は、相手の臆測で考えた場所に向かうからだ。

だから、事前にきちんと「○○空港の××ターミナル」と告げなければいけない。仮に、きちんと伝えたつもりでも、違うターミナルに着いてしまったときには、タクシーから降りずに「ここではないので××ターミナルへ行ってくれ。先ほど説明したはずだ」ときちんと強く言おう。

相手が自分の間違えだとわかれば、ちゃんとあやまってくれるし、すぐに向かってくれる。しかし、きちんと主張しないと、あなたが間違ったと思われる。「正しいことは正しい」と、きちんと主張できるようにしておきたい。

タクシー支払いのときには桁数を確認すること

次は料金だ。無事にタクシーに乗って目的地に向かう間、到着前にあなたがしなければいけないのは、その国の通貨の桁数をしっかり確認しておくことだ。タクシーの料金表示もさることながら、支払いのときに桁数を確認することは、結構慣れていないと難しい。

例えば、1,000円程度の料金だったりすると、今現在のレートではベトナムで200,000ドン、インドネシアで100,000ルピアとなる。ゼロの数を間違えると「タクシーで桁を間違えて10倍の金額を払ってしまった」なんてこともある。

ただ、空港への料金以外であれば、市内でのタクシー代は日本と比べれば激安だ。「ぼられたよ!」と言われても実際には100円にも満たないこともある。それでも、無意味なお金を払うのもどうかと思うので、タクシーに乗ったら紙幣の桁数をよく確認しておこう。

渋滞対策「タクシー内での打ち合わせ」

最後に、最近のアジアの交通事情だが、どこの国も急激な発展とそれに伴う富裕層の出現で、所有による車が増加する一方、インフラの整備は圧倒的に遅れ、街中の交通渋滞は日常茶飯事だ。私もよく経験するが、道がすいていれば5分の距離を1時間かけて移動なんてことも、ざらにある。タクシーに乗れば、渋滞で時間を持て余す。

「それなら…」と歩いて、事故に遭っても大変だ。日中といっても、日本に比べれば危険なところも多い。また、アジアはとにかく暑い。「移動前にちょっと喫茶で打ち合わせをして…」では、非効率的だ。

私の渋滞対策法としては、まず、極力信頼の置けるタクシー会社のタクシーを使い、日本の最低倍以上の移動時間を取っておくこと。そして「打ち合わせはタクシーの中でして、早く着いたらお茶でも飲もう」。いつも、そのように行動している。

異国の地では、移動をスムーズにすることが、基本的なストレスをなくせる重要ポイントだ。アジアに出張のときは、現地ならではの交通事情に合った、時間の使い方を考えておくとよい。


秋山岳久
1963年生まれ。東京都出身。大手ITメーカー勤務。PCのマーケティング担当する傍ら、アジアで活動するバンド「GYPSY QUEEN」のリーダーを務め、ブルネイ、カンボジア、ラオス、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム、中国、モンゴル、日本の10カ国において10年間で130回以上の公演活動を実施。特に中国では、17都市70回以上の公演を行い30万人を動員。その他、ASEANに関連するイベントや観光交流の事務局を務め、国のトップから実務担当者まで、10カ国で500人以上と接点を持つ。著書『アジアで勝ち抜くビジネススキル』(パブラボ/1,500円+税)