4つのクォークからなる荷電を持つ新粒子を世界で初めて発見した、と高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)が2007年に加速器のBelle実験の結果として発表していたが、別の実験グループによる追試がなかなかできず、確定していなかった。ついにその待望の追試が欧州合同原子核研究所(CERN、ジュネーブ)のLHCb実験でなされた。CERNのグループが4月7日、米科学誌フィジカル・レビュー・レターズへの論文投稿で「KEKが発見した4クォーク荷電粒子を確認した」と発表した。KEKの07年の発見は正しかったのだ。

図1. これまで知られていた粒子の例

原子核を構成したり、力を仲介したりする粒子は、クォークが3個からなる陽子や中性子と、2個からなる中間子に大別される。実際に、加速器の素粒子実験で観測されるクォークの状態はこの2種類のどちらかにほぼ限られていた。クォークが4個以上からなる粒子の存在はよくわかっていなかった。今回、独立の追試で再発見された結果、新粒子が4個のクォークから構成されていることはもはや疑いの余地がなくなった。

図2. クォーク4個からなり、電荷を持つ新粒子

Belle実験共同代表者の堺井義秀KEK教授は「われわれは07年以降の実験で、4クォーク荷電粒子を計6個見つけており、結果には自信を持っていた。しかし、別の加速器の実験で見つかる必要があった。7年の時を経て、ようやく4クォーク新粒子の存在が確定した。それだけKEKが先駆けていたことになる。この新粒子は、クォークの状態を決める法則のひとつ、量子色力学(QCD)の解釈に変革をもたらす。中性子星におけるクォークの振る舞いなど、宇宙物理学の議論にも影響を与えるだろう」と発見の意義を強調している。