帝国データバンクはこのほど、「新規株式上場(IPO)」の意向に関するアンケート調査の結果を公表した。同調査は今回で17回目となる。

「IPOの意向を持つ企業属性・業種別」

調査対象は、前回調査(2013年)もしくは、同社「企業信用調査」においてIPOの意向を確認済み、または、ベンチャーキャピタルからの出資を確認済みの未上場4,064社としている。3月5日から19日にかけて調査票の郵送で実施し、回答数は1,260社。そのうち、IPO意向が「ある」と回答した403社を分析対象とした。

業種はサービス業で東京に一極集中

IPOの意向を持つ企業属性を業種別に見ると、前年調査に引き続き、「サービス業」の割合が50.1%と過半数を占めた。そのなかでも情報サービス業の割合が高く、全体の21.8%を占めた。次いで多いのは「製造業」の 19.1%、「卸売業」の11.7%だった。前年調査から業種別の割合に大きな変動は見られなかった。

本社所在地域別では、「関東」が57.3%を占めた。なかでも「東京都」の割合が全体の44.4%を占め、一極集中の状況が続いている結果となった。前年調査と比較すると、「関東」の割合が3.1ポイント増加する一方、「近畿」の割合は2.3ポイント減少した。その他の地域の割合は、ほぼ横ばいでの推移となった。

IPOの目的について複数回答で尋ねたところ、「知名度や信用度の向上」と回答した企業が301社(74.7%)を占め、トップとなった。以下、「人材の確保」(207社、51.4%)、「資金調達力の向上」(192社、47.6%)という回答が続いた。

「IPOの目的は?」(複数回答)

最近準備を始めた企業が多い

IPOの予定時期を尋ねたところ、「未定」と回答した企業が201社(49.9%)とほぼ半数を占めた。「2014年~2018年までの今後5年以内」が144社(35.7%)で、その中では「2016年」とした企業が52社(12.9%)と最多だった。一般にIPO準備に必要な期間は2年~3年と言われることから、最近準備を始めた企業のIPOが、この時期に予定されているようだとしている。

「IPOの予定時期は?」

IPOの予定市場を複数回答で尋ねたところ、「東証マザーズ」が186社(46.2%)を占めトップとなった。これに、「JASDAQスタンダード」が89社(22.1%)で続いた。IPO検討企業の多くが新興市場を最初の市場として予定していることがわかった。

IPOを検討することでプラスの副産物は?

IPOを検討するにあたり、特に強化すべきと考える点について尋ねた。最多の回答は、「コンプライアンス、内部監査体制の充実」で226社(56.1%)にのぼった。次いで「幹部人材の育成」が186社(46.2%)、「IPO準備チームの編成」が184社(45.7%)となった。

今後5年以内の国内IPO市場の展望を尋ねた。その結果、「好転する」(83社、20.6%)と「やや好転する」(161社、40.0%)を合わせ、6割以上の企業が、「国内IPO市場は今よりも好転する」と回答した。

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