本展インスタレーションのための習作 2014年 (c)Nicolas Buffe

東京都・品川の原美術館では、日本やアメリカ由来のサブカルチャーと、ヨーロッパの伝統的な美意識を融合させるフランス人アーティストの個展「ニコラ ビュフ:ポリフィーロの夢」が開催されている。開催期間は6月29日まで、開館時間は11:00~17:00(水曜は20:00まで)。入館料は一般1,100円、大・高校生700円、小・中学生500円。原美術館メンバー、および学期中の土曜日における小・中・高校生の入館は無料。

同展は、2012年にパリのシャトレ座で上演されたオペラ「オルランド」のアートディレクションで高い評価を得た新進気鋭のフランス人作家、ニコラ ビュフの美術館における初個展。ヨーロッパの古典と和製ロールプレイングゲームの世界観に類似性を見いだしたビュフは、主人公である少年・ポリフィーロの冒険を通して、夢と愛、闘いと勝利、死と再生という、普遍的なテーマを提示。主に壁画と立体作品を組み合わせた大型インスタレーションで構成され、さらにAR技術を用いて鑑賞者が仮想空間で甲冑をまとうことのできるインタラクティブな作品なども展開しており、美術館全体をファンタジーの世界に変える異色の試みとなっている。

また、飯田橋のアンスティチュ・フランセ東京では、ニコラ ビュフの作品制作の過程に迫る関連企画展「ポリフィーロの手帳」が開催されているほか(6月1日まで)、白金高輪の山本現代でも「ポーリアの悪夢:ニコラ ビュフ」がスタートする(5月31日~6月28日)。

(c)Nicolas Buffe, 2014 撮影:木奥惠三

なお、ニコラ ビュフは1978年パリ生まれのアーティスト。2007年に来日し、現在は東京在住。2014年、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻 博士号取得。ルネサンスやバロックなどのヨーロッパの伝統文化と、子どものころから夢中になっていた日本やアメリカのマンガやアニメ、ビデオゲームなどのサブカルチャーを組み合わせ、西洋と東洋、伝統と現代を融合した、壮麗で軽やかな作品に取り組んでいる。その制作は美術のみならず、舞台、ファッションなど多くの分野から注目を集める。