Freescale Semiconductorは4月18日、ARM Cortex-A9/M4コアを1チップに統合したアプリケーションプロセッサ「i.MX 6」の拡張版を発表した。

民生、産業、車載インフォテインメント市場が急速に発展する中、システム設計の現場では、リアルタイム応答性や電力効率を犠牲にすることなく、リッチなユーザインタフェースを実装できる性能を備えたプロセッサが強く求められている。こうした場合、マルチチップソリューションかマルチコアプロセッサによる仮想化のいずれかを選ぶことになるが、マルチチップソリューションは、コストとボード面積が増大する他、システムが複雑化してしまう。また、仮想化の場合、リアルタイム性能の低下やシステムの消費電力が増大するといった影響が生じる。

同製品は、ARM Cortex-A9/-M4プロセッサを統合することで、高度なOSを実行する処理能力とリアルタイム応答性を兼ね備えている。これにより、高度なグラフィック機能を搭載した次世代のシステムアウェアコネクテッドデバイスの開発が促進される。また、スタンバイ時の消費電力を大幅に削減する低消費電力モードが追加され、より小型のフォームファクタ設計を可能にし、システム入力に対する高速なリアルタイム応答性も実現している。

さらに、リアルタイムのタスク処理と計算集約型へ対応する性能を同時に要求するアプリケーションをサポートするため、SoCには4つの独立制御型リソースドメインが組み込まれており、メモリやペリフェラルなどのシステムリソースを分割する際には最適な柔軟性がもたらされる。結果として、ペリフェラルやメモリのアクセス要求はハードウェアレベルで検証されることになり、分割は確実に行われ、システムリソースの汚染(tainting)も防止される。

この他、デュアルポートGビットEthernetオーディオビデオブリッジング(AVB)は、改良されたトラフィックシェーピング機能、パケット優先順位付け機能を備え、車載分野をはじめとするさまざまなアプリケーションのQoS(サービス品質)に寄与する。また、費用対効果に優れた2D/3D GPUは、高度化したHMIの開発を促進する。さらに、クアッドSPIやRaw NANDをサポートするなどの柔軟なブートオプション、DDR3とLPDDR2の両方に接続可能なメモリコントローラを備える。加えて、標準的なシステムインタフェースを統合したことで、UIやワイヤレス接続向けのさまざまなインタフェースオプションによる、システム設計の柔軟性向上や全体的な部品コストの削減などが図れる。

拡張版プロセッサ「i.MX 6」は、特定顧客向けにアルファサンプルを現在出荷中。量産開始は2014年第4四半期を予定している。開発ツール/ソフトウェアサポートセットも用意されており、Cortex-A9プロセッサ向けAndroid/Linux OSや、Cortex-M4プロセッサ向けMQXTM OS、幅広いARMコミュニティのサポートを利用できる。また、拡張版「i.MX 6」シリーズ用SABREボードの供給も、2014年第4四半期に開始される予定。同社では、「i.MX 6」シリーズのポートフォリオをさらに拡充していく方針と説明している。