目黒第一中学校、1人1台のタブレットPCを活用した授業の実証研究を開始

 

東京都・目黒区教育委員会は、同区内の目黒区立第一中学校において、生徒1人1台のタブレットPCや電子黒板等のICT環境を活用した授業を実施し、グローバルな知識基盤社会を生きる生徒の「主体的に学ぶ態度」や「協働的問題解決能力」の育成などを目的として、その効果を検証する実証研究(プロジェクト名「MPL21(Meguro Proactive Learning for the 21st-century)」を開始したと発表した。

期間は2014年4月~2015年3月31日の予定だが、場合によってはさらに1年間延長することもありえるという。

目黒区立第一中学校

目黒区教育委員会 教育指導課長 佐伯英徳氏

目黒区教育委員会 教育指導課長 佐伯英徳氏 は「目黒区では平成23年に策定した整備計画にしたがって、小学校22校、中学校10校のICTの整備を図ってきた。今後は、ICTが生徒の教育環境にどのような効果をもたらすかを検証し、平成27年度以降の区立学校のICT環境整備をいかに図っていくのか、研究を進めていきたい」と挨拶した。

目黒区立第一中学校では、各教科、総合的な学習、部活動等において、生徒が自分の意見を電子黒板で発表したり、生徒同士がグループで議論しながらタブレットPCでレポートを作成したりするといった、思考力・判断力・表現力等の育成を目指した「言語活動の充実」に主眼を置いた授業を計画的に実践していく。

目黒区立第一中学校 校長 伊藤恵造氏

目黒区立第一中学校 校長 伊藤恵造氏は「教師対生徒という関係ではなく、生徒同士のコミュニケーションを活性化し、解のない課題を自分で解決できる力や、他者とともに協働して解決しようとする力の育成を図りたい」と語る。

同校では、平成21年度にネット接続されたPC、書画カメラ、プロジェクタを設置。さらに、平成23・24年度には、目黒区教育委員会研究指定校に指定され、新学習指導要領が定めるICTを活用した言語活動の充実を図ってきた。

ホワイトボードの上に設置されたプロジェクタ

今回の実証研究では、タブレット端末として、Windows 8.1 Pro搭載の「VersaPro タイプVT」(NEC)70台のほか、電子黒板として「BrainBoard 65型」(NEC)2台を導入。さらに 無線LAN環境、充電保管庫、サーバー、デジタル教科書、授業支援システムなどを整備して授業を行う。これにより、同校では、これまで生徒1人1台のPC環境はコンピュータ室のみであったが、さらに2教室において、1人1台の環境が実現する。

導入したタブレット端末「VersaPro タイプVT」(左)と電子黒板「BrainBoard 65型」(右)

ソフトウェアとしては、タブレット対応授業支援ソフトウェア「SKYMENU Class 2014」(Sky)、有害サイトフィルタリングソフト(「i-FILTER ブラウザー&クラウド」(デジタルアーツ)、電子教科書を導入している。

目黒区立第一中学校の導入システム図

タブレット端末は今年の1月~3月にかけて順次導入が行われ、すでに1月には保健体育、3月には社会・理科で研究授業を行った。

1月の保健体育では創作ダンスに活用。同校にはダンスを確認する鏡が1つしかないことから、各グループにタブレット1台を配布し、録画機能を活用、協働学習を実施した。この授業では、コミュニケーション機会の増加が図られ、生徒は細部にわたって作り込みして完成度を高め、全員が関わろうとする姿勢がうかがえたという。

3月の社会科の授業では、近郊農家の課題を理解し、解決案を提案する授業を行った。授業では、班に1台タブレットを配布し、課題解決に向けた情報収集と討論を行った。実際の提案では、東京・三鷹市の農園と通信を結び、解決案の提案を行ったという。

この授業では、農家から直接聞くことで、理解度が向上したほか、整理や取り組むべき方向性を確認したり、意見交換してさまざまなアイデアを出し合う生徒の積極的な関与が見られたという。また、電子黒板やプレゼンソフトを利用して発表することで、ICTスキルの向上も図られたという。

3月の研究授業での農家へのプレゼンの様子

伊藤校長はICT教育の価値について、ビデオ機能による再現性、効率性、わかりやすさ、目に見えないものの見える化、情報共有しての協働学習の5つの価値があると説明。「今後は、実証研究により、さらに価値を7つ、8つと見出していきたい」と豊富を述べた。

目黒区立第一中学校の電子黒板(Windows 8.1 Pro搭載)では、タブレット対応授業支援ソフトウェア「SKYMENU Class 2014」を利用。生徒全員の画面を一斉表示したり(左)、生徒全員の書き込みを1つの画面に統合することができる(右)

今回の実証研究には、日本マイクロソフト、NEC、NTT東日本が支援を行っている。

日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター統括本部 文教本部長 中川哲氏

マイクロソフトは、支援企業の取りまとめを行うとともに、Windows 8.1 Pro、Office 2013 Professional等の各種ソフトウェアの授業での活用に関する教員向け研修を提供。

NECは、タブレットPC、電子黒板、校内の無線LAN環境等を提供し、ICT環境整備を行った。また、NECフィールディングを通じて各ICT機器の保守を行うとともに、ヘルプデスクを開設し、必要に応じて要員派遣も含めた技術・運用サポートを行う。

そして、NTT東日本は教員の授業案・計画づくりの支援、ミーティングのファシリテーター等を行う研究支援員(ICT支援員)を派遣する。また、光回線による高速インターネット環境を提供する。

NEC スマートデバイス事業部長 橋本欧二氏

日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター統括本部 文教本部長 中川哲氏は、ICT教育には、 「21世紀型学びの評価指標(効果測定が難しい)」、「持ち帰り学習の検討(運用管理) 」、「学校インターネット接続環境整備をどう整備していくのか」という3つの課題があると指摘。「今回の実証研究では、実際に効果があったかどうかを、のちに残すことができるような取り組みにしていきたい」と述べた。

NEC スマートデバイス事業部長 橋本欧二氏は、「教育におけるICTの活用は、NECが長らく知見を貯めてきた部分であり、今後はアイデアを出し、教育現場の先進のICT機器と導入支援サービスを提供していきたい。ICTはテキストよりも映像・音声を活用することが重要で、これらをクローズアップさせるようプロジェクトに取り組んでいきたい」と語った。

NTT東日本 ビジネス&オフィス営業推進本部 ビジネス営業部 文教・メディアビジネス部門長 長谷川達彦氏

そして、NTT東日本 ビジネス&オフィス営業推進本部 ビジネス営業部 文教・メディアビジネス部門長 長谷川達彦氏は「ICTの教育分野での活用については、ここ4年くらいNTTグループでは、さまざま実証実験に参加してきた。これまでは、ICTの道具としての実証がメインであったが、今後はICTが役に立つのは当たり前で、NTTは黒子に徹し、先生や生徒が主役となって教え、学びを深めていくことが重要だ」と述べた。



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