東京都・京橋の東京国立近代美術館フィルムセンターでは、映画タイトルデザイナーの赤松陽構造(あかまつひこぞう)の業績を紹介する「赤松陽構造と映画タイトルデザインの世界」を開催している。開催期間は8月10日まで(月曜および5月27日~29日は休室)、開館時間は11:00~18:30。入場は一般210円、大学生・シニア70円、高校生以下は無料。

「東京裁判」(1983年) 小林正樹監督

「ウォーターボーイズ」(2001年) 矢口史靖監督

同展は、現代の映画タイトルデザイン界の第一人者である赤松の業績を紹介するとともに、無声映画の時代から華やかな字体で映画を彩ってきた日本のタイトルデザインの歴史についても解説している。会場では、完成したタイトル文字やその原画、ポスターなどが展示されているほか、編集技師・宮島竜治が編集した映像作品集も常時上映。単に題字を描くだけでなく、映画の中での挿入位置やモーションといった演出までを手がける「タイトルデザイン」という仕事を、十分に知ることができる。

また、赤松が自らの代表作について解説するイベント(4月26日)や、「美しい夏 キリシマ」(2002年)などの作品で組んだ編集技師・阿部亙英をゲストに招いてのトークイベント(6月28日)、フィルムセンター研究員が映画タイトルデザインの歴史について解説するイベント(8月2日)なども開催される。

なお、赤松陽構造は1948年東京都生まれの映画タイトルデザイナー。1969年に急逝した父親の跡を継いで映画タイトルデザインの仕事を始める。「東京裁判」(1983年)のタイトルで大きく注目された赤松は、黒木和雄、北野武、黒沢清、阪本順治、周防正行など、社会派から個性派まで多くの監督に信頼され、これまで400作品以上のタイトルを手がけ、現代日本映画を支えてきた。2012年には、第66回毎日映画コンクール特別賞、文化庁映画賞(映画功労部門)を受賞している。