東洋大学は4月15日、Kinectを用いた「側弯症計測システム」を開発したと発表した。

同成果は、同大理工学部生体医工学科 メディカルロボティクス研究室の寺田信幸教授らによるもの。

側弯症は背骨が曲がってしまう病気で、日本国内では127万人の患者がいると推定されている。学校保健法の検査項目の1つにもなっており、これまでは黙示による検査が行われてきた。しかし、医師の主観によるバラつき、検査に時間がかかるといった問題があったほか、X線を利用したり、モアレ画像法を用いた検査では、被ばくの問題や計測装置が高価といった問題があった。

今回、研究グループでは、Kinectを活用することで、数万円の費用で実現可能なシステムを開発することに成功したという。具体的には赤外線により3次元形状を計測可能な「3Dカメラ」、計測データを即時に表示可能な組み込みOS「Windows Embedded」を採用した「解析PC」、そして複数の被験者を連続して撮影する際に被験者の位置決めを容易にする「基準プレート」の3つで構成されている。

また、Kinectのセンサは特性上、計測誤差を多く含むことから、今回、研究グループでは、人体表面が連続した形状になっている点を利用して計測データにフィルタ処理を施すことで、計測精度の向上を実現したという。

なお、同技術については、4月1日付で商品化、製造・販売による技術の普及、拡散と医療貢献を目的とした実施許諾契約書をエーアンドエーと締結しており、今後、特許取得と年内の実用化に向けた取り組みを進めていく予定としている。

システムの構成イメージ