将棋ソフト・ツツカナに敗れた森下卓九段

5人のプロ将棋棋士がコンピュータ将棋ソフトと団体戦で戦う「第3回将棋電王戦」の第4局・森下卓九段 対 ツツカナの対局が5日、神奈川県・小田原城で行われた。

第4局は、5日20時38分、「将棋電王トーナメント」2位の将棋ソフト・ツツカナが森下九段に勝利し、ソフト側が3勝目。最終局(第5局)を前に、「第2回将棋電王戦」に続いてプロ棋士の負け越しが決まった。将棋は、森下九段がもっとも得意とする矢倉の将棋となり、中盤のねじり合いが続いたが、ツツカナが徐々に優位を拡大。終盤はコンピュータらしい正確な読みを発揮して、あざやかな即詰みに打ち取った。手数は135手で、消費時間は森下九段が4時間48分、ツツカナが3時間56分。

終局後の会見で森下九段は「(ツツカナ)が粘ってきた時にそれを跳ね返すのが容易ではなかった。明確な勝ちがあったわけではないが、おそらく勝ちはあったのではないかと思う。それを見つけられなかったことは残念だった。読みで戦うのは厳しい」と肩を落とし、ツツカナの開発者・一丸貴則氏は「お互いの指し手がすごくきれいで、爽やかな気持ちになれました。自分が勝ったわけではなくてソフトが勝ったので、勝ったというのとは、少し離れた気持ちです。きちんと動くか心配だったので、完走してよかったと思います」と胸をなでおろした。

4月12日まで開催される「第3回将棋電王戦」は、「将棋電王トーナメント」上位5つのソフトと、現役のプロ棋士5人による団体戦。持ち時間は人間側、コンピュータ側ともに5時間となる。第2回とのルールの大きな変更点は、「持ち時間が各5時間(チェスクロック方式)」「ソフト側の統一ハード(コンピュータ)の使用」「ソフトの事前提供」の3つ。また、対局におけるソフト側の指し手は、デンソーの子会社であるデンソーウェーブのロボットアーム「電王手くん」が導入されている。

第5局・屋敷伸之九段 対 ponanzaは、4月12日東京・将棋会館で行われる。

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