内閣府政府広報室はこのほど、天候が急変しやすいシーズンに向けて「融雪期の雪崩(なだれ)発生に注意」「春先での安全登山のポイント」「台風並みの猛威を振るう『春の嵐』『メイストーム』への備え」について政府広報オンラインにて公開した。

雪崩が発生しやすいポイント(全国地すべりがけ雪崩対策協議会より)

35度~45度で全層雪崩の危険大

雪崩は、山腹に積もった雪が斜面上を急激に崩れ落ちる現象を指す。気温が上昇する春先の融雪期は雪崩が発生しやすい季節で、斜面の固くて重たい雪が自動車並みのスピードで地表面の上を滑り落ちる全層雪崩が発生しやすくなる。災害から身を守るためには、前もって雪崩が発生しやすいケースを知っておくことが重要という。

まず、全層雪崩が発生しやすい場所については「急な斜面」が挙げられる。一般的に、傾斜が30度以上になると発生しやすくなり、特に35度~45度が最も危険と言われている。「低木林やまばらな植生の斜面」も雪崩の危険度は高く、裸地よりも発生しやすい地形とのこと。

また、全層雪崩が発生しやすい条件には、「過去に雪崩が発生した場所」や「春先や降雨後のフェーン現象などによる気温上昇時」、「斜面に積雪の亀裂ができていること」が挙げられる。政府広報オンラインでは、雪崩発生の場に遭遇した時の対処法などについて公開している。

遭難は「道迷い」「滑落」「転倒」が約7割

春先は登山を楽しむ人も多くなるが、多くの遭難事故が発生する時期でもあるという。春先の山はふもととは異なり、気温も低く雪が降ることもある。遭難の多くは春先の山についての認識が甘く、不十分な装備で体力的に無理な計画を立てるなど、知識・経験・体力の不足が原因となっている。

山岳遭難で多いのは「道迷い」「滑落」「転倒」で、遭難者数全体の約7割を占めている(警察庁「平成24年中における山岳遭難の概況」より)。また、「疲労」「病気」も発生しており、亡くなったり行方不明になったり負傷したりするケースも少なくない。

平成24年 態様別山岳遭難者の割合(資料提供:警察庁「平成24年中における山岳遭難の概況」

政府広報オンラインでは、山岳遭難に巻き込まれず安全に登山を楽しむためのポイントとして、"無理のない「登山計画」を""情報収集や装備を万全に""山に登る前に「登山計画書(登山届)」の作成と提出を"の3カ条を呼びかけている。また、さらに詳しい解説も公開している。

大荒れ予想は数日~1日前に「気象情報」を発表

春先~5月にかけては、日本付近で急速に発達した低気圧により「春の嵐」や「メイストーム(5月の嵐)」と呼ばれる激しい現象が発生する。台風並みの暴風や猛吹雪、海岸では高波となることもあるため、外出の際には注意が必要となる。

低気圧の急速な発達によって起こる春の嵐は、急な天候変化の原因となるが、春の嵐によって大荒れの天気が予想される時は、その数日~1日前までに気象庁から「暴風に関する気象情報」が発表される。

その後、災害発生のおそれが高まってくると強風となる半日~数時間前までに「強風注意報」「暴風に関する気象情報」、暴風により重大な災害が発生するおそれがあれば「暴風警報」が暴風となる数時間~2時間前までに発表される。注意報・警報発表後も「暴風に関する気象情報」で、刻一刻と変化する暴風の状況が発表される。

暴風に関する気象情報が発表された場合、風が強くなる前に建物や建物の周りを見直して、飛びやすいものは固定するなどの対策が必要となる。学校や会社などにいる時は、交通機関がストップし帰宅困難となるおそれもあるため、学校や会社の指示に従って早めに帰宅するなど、強風のピークを避けての行動も大事だという。

また、強風が吹いている時は転倒・転落や看板などの飛散物による負傷を避けるため、外出はできるだけ控えることを呼びかけている。加えて、シャッターをしっかり閉めること、雨戸などがない場合は割れた窓ガラスの飛散防止のため、カーテンを閉めることなども注意点として挙げている。