月桂冠総合研究所は3月19日、酒粕成分の摂取により非アルコール性の「脂肪肝炎(NASH:nonalcoholic steatohepatitis)」を予防できる可能性があることを発表した。

同成果は、京都府立医科大学・消化器内科グループの内藤裕二 准教授が監修したもので、2014年度の「日本農芸化学会大会」において発表される予定だという。

肝臓内に中性脂肪が蓄積する脂肪肝炎の中でもNASHは、肝炎ウィルスや飲酒によるものではなく、肥満やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病を起因とする症状に分類され、症状が進行すれば肝硬変、肝臓がんに至ることが懸念されている。

今回の研究は、そのNASHに対し、酒粕レジスタントプロテインによる予防可能性を検証するために、2012年から進められてきたもの。これまでの研究から、酒粕のマウスへの経口摂取により、血中の総コレステロールや血清LDLコレステロールが低減され、脂質代謝が改善することが報告されていたが、今回の研究では、清酒もろみを液状化して仕込む独自の清酒醸造法で得られた酒粕(一般的な酒粕に比べ、米由来のタンパク質含量が約2倍含まれている)をさまざまな条件で調製し、酒粕レジスタントプロテイン、その分解物の酒粕ペプチドを与えたところ、NASHに特徴的な肝臓での脂肪沈着や細胞肥大化の抑制に加え、肝硬変への進行の指標となる繊維化も抑制できることなどが確認されたという。

なお、今回効果が確認されたレジスタントプロテインは、難消化性かつ不溶性のタンパク質の一種であり、研究グループでは、レジスタントプロテインを含む酒粕の継続的な摂取が、肥満によるNASHの発症を予防できる可能性を示唆する結果だとコメントしている。