映画『春を背負って』の完成披露会見が13日、都内で行われ、キャストの松山ケンイチ、蒼井優、豊川悦司、檀ふみ、新井浩文と木村大作監督が出席した。

左から、木村大作監督、檀ふみ、蒼井優、松山ケンイチ、豊川悦司、新井浩文

笹本稜平の同名小説(文藝春秋刊)を実写化した本作は、『劒岳 点の記』で初監督を務めたカメラマン・木村大作の監督作品第2弾。立山連峰の大汝山にある山小屋を舞台に、雄大な自然の中で生きる人々の想いを描いたドラマで、主演を松山、ヒロインを蒼井が務めている。映画は6月14日から全国公開。

山での撮影は、大汝山の山頂3,015mにある大汝休憩所で行なわれ、「高山病になりかけた」と苦労を語った松山は、「自然に逆らわないことを意識した。見た事が無い表情になっていてビックリした」と感想を。木村監督の撮影現場について、「とても無垢な方。映画や人に対して真っ直ぐなので、全身全霊でカメラの前に立ちました」と振り返ると、木村監督は「本当の現場に俳優さんを連れていくのが最大の演出。3,000mも上がれば元々持っている佇まいが出る」とこだわりを語った。

一方、「清水の舞台から底無し沼に飛び込む覚悟だったけど、気持ちの良い現場だった」と過酷な現場にも関わらず楽しんだ様子の豊川は、約30人のスタッフとキャストが20畳の部屋に寝泊りしていたことを明かし、「狭いからウノかマージャンか飲みのどれかのチームに入らないといけなかった」と苦笑い。そんな撮影に、松山は、「みんなで寝泊りすることが大事な撮影でした。木村監督がお父さんで僕たちが息子という感じで、距離が縮まりました」と笑顔を見せた。

また、会見後に行われた舞台あいさつで、蒼井は現場で松山と豊川に"まさる"と呼ばれていたことを告白。松山が「男みたいだから。部活の仲間みたいな感じ。高山病にもならずケロッとニコニコしてて」と釈明すると、豊川も「気を遣わないように気を遣ってくれて、助けられた」と称賛。会見でも、木村監督に「1番山に強かった。いつも笑顔ではしゃいで楽しんでた」と元気の良さを絶賛されていた蒼井だが、「(山を)映画館で観れて良いな。山を見ると脳の奥に辛さがジワッとくる」と人知れず苦労していたことを明かしていた。