ポーラ化成工業は3月13日、真皮乳頭構造が、肌の色ムラや皮膚弾力の低下に関わっていることを解明したほか、顔面における真皮乳頭構造の計測結果から、単位面積あたりの真皮乳頭構造個数が少ないほど肌の色ムラや弾力低下に影響を及ぼしやすく、若い世代ほど個人差が大きいこと、ならびに単位面積当たりの真皮乳頭構造個数が加齢とともに減少することを見出したと発表した。

同成果の詳細は、ブラジル・リオデジャネイロで開催された「IFSCC 2013 Conference」にて発表された。

皮膚は、表皮層-真皮層という異なった層が重なり立体的な形をとる複合構造体であり、それぞれの層の間には境界面が存在している。人間が肌の色を認識する際に影響する光の散乱特性や透過特性、ハリを感じるのに重要な粘弾性は、異なった層が接したときにできる境界面の形状によって変化することが知られているが、基底層の凹凸構造である「真皮乳頭構造」の形状の具体的な皮膚物性への影響については良く分かっておらず、特に顔面は、皮膚組織を切り出して真皮乳頭構造を研究することが困難なことからこれまで調査が行われてこなかった。

真皮乳頭構造

今回の研究では、皮膚計測技術とさまざまな画像解析技術を組み合わせることで、真皮乳頭構造の非侵襲計測法確立し、20代から60代の日本人女性90名の顔面を対象に、肌の色や粘弾性といった皮膚物性と真皮乳頭構造の計測を行い、真皮乳頭構造の加齢変化および皮膚物性との関連性を検討したとする。

その結果、真皮乳頭構造が減少すると肌の色ムラが増加し、粘弾性が低下する傾向があることが示された。

真皮乳頭構造と皮膚物性との関係

また、この関係性は、真皮乳頭構造を模したモデルを使った実験によっても確認されたとのことで、肌の色やハリに真皮乳頭構造が寄与することが示されたこととなった。

真皮乳頭構造を模したモデル実験

さらに、顔面の真皮乳頭構造は、加齢によりその数が減少し平坦化することも判明したほか、20~30代では個人間の個数のバラつきが大きいことが確認されたとのことで、真皮乳頭構造は加齢と相関性があるものの、若い世代であってもすでに個数が少なく真皮乳頭構造が平坦化している人が存在することが示されたとする。

真皮乳頭構造の加齢変化

なお研究グループでは、今回の結果から、真皮乳頭構造に着目した新しいエイジングケアが提案できるようになり、より的確にカウンセリングできる可能性が示されたとするほか、若年層に対しても、真皮乳頭構造の状態に着目した早期エイジングケアの提案が可能になるとしており、今後ポーラ・オルビスグループから発売される肌分析サービスを介した個対応化粧品のアドバイスに活用していく予定だとしている。