計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは3月13日、自社のプロトコルアナライザ「U4431A MIPI M-PHY」を、次世代モバイルコンピューティングバスの開発向けに、SSIC(SuperSpeed USB Inter-Chip)およびCSI(Camera Serial Interface)-3に対応させたと発表した。

CSI-3は、D-PHY向けのCSI-2プロトコルをM-PHYに適用したものであり、SSICは、USBの機能をM-PHY上で動作させるモバイルシステム向けの規格である。今回、プロトコルアナライザを両規格に対応させたことにより、MIPI M-PHYを採用した機器の開発に最適になったとしている。

モバイル機器の設計においては、高解像度カメラ、最先端グラフィックスアダプタ、オンボードメモリなどをサポートするため、複数の高速バスを実装する必要がある。必要となる帯域幅が増大するにつれ、M-PHYも4レーン、6.0Gbpsオプションを含む仕様に拡張された。「U4431A」では、各レーンごとに最大16GBの解析メモリを搭載。これにより、高速環境においても十数秒のデータを捕捉することが可能となった。

これに加え、RAWモード解析機能を使用することで、プロトコルの下位層となる8b/10bデータを、時間相関をとって表示することが可能。波形もしくはリスト形式でデータを表示する。これにより、物理層においてパケットがどのように作られているかを把握することができる。また、詳細な解析機能が、M-PHYプロトコルスタック全般にわたって提供されており、物理層からリンク層、トランスポート層、さらに上位のアプリケーション層など、様々なレイヤーにおけるエラー検出が可能な他、データを可視化できる。

「U4431A」では、バス上のイベントを特定、解明するツールを提供している。リアルタイムトリガー機能は、各プロトコル層におけるエラーを検出する。また、フィルタ機能は、ある特定のトラフィックのみを抽出する。さらに、トラフィック概要表示および測定マーカーにより、バースト全体からナノ秒分解能の詳細まで、トラフィックを解析することができる。加えて、「U4431A」はAXIe形式のモジュラー測定器となっており、複数のM-PHYバスを同時に解析が可能。M-PHYバスの解析にあたっては、MIPI D-PHY CSI-2およびDSI-1、PCIe、DDR、HDMIのモジュールと相関をとることができる。この他、高速ロジックアナライザモジュールとの相関も可能。必要に応じてレーン数、メモリ容量、対応プロトコルを選択でき、将来アップグレードもできる。

アジレントでは、Mobile PCI Express(M-PCIe)のサポートも予定している。M-PCIeは、広く採用されているPCIe規格をM-PHY物理層上で利用するもので、当初はメモリ用途での採用が見込まれる。

なお、価格は「U4431A-713 MIPI M-PHY CSI-3 plus UniPro」が224万9100円(税別)から、「U4431A-714 MIPI M-PHY SSIC」が199万9200円(税別)から。すでに販売を開始しており、出荷開始は4月を予定している。一部の機能については、9月より提供開始となる。

アジレントは、自社のプロトコルアナライザ「U4431A MIPI M-PHY」を、次世代モバイルコンピューティングバスの開発向けに、SSICおよびCSI-3に対応させた