早稲田大学理工学部経営システム工学科とアクセンチュアは3月12日、日本企業グローバル化ランキングを独自指標で算定し、「グロー バリゼー ション・インデックス」として発表した。なお、発表されたのは上位10社のみ。

このランキングは早稲田大学 理工学部経営システム工学科 大野研究室が、東証一部上場企業 売上上位200社の日本企業を対象に、海外売上比率、海外資産の割合と直接対外投資金額、海外人材の登用、売上全体の伸び、という4つの要素に基づいて算出したもの。

グローバル化指標選択の視点

グローバル化主要指標

ランキング結果に対してアクセンチュアが考察を加え、日本の先進企業の事例からグローバルでの持続的な成長を実現するために必要な取り組みの方向性を示唆としてまとめた。

ランキングは、以下の表のとおり。

「グローバリゼーション・インデックス」上位10社

順位 企業名
1 位 日産自動車
2 位 武田薬品工業
3 位 トヨタ自動車
4 位 TDK
5 位 本田技研工業
6 位 ブリヂストン
7 位 ダイキン工業
8 位 野村ホールディングス
9 位 三菱商事
10位 国際石油開発帝石

インデックスの作成にあたっては、誰でもわかりやすい(理解できる)、誰でも使える(自分で操作可能)を基本ポリシーに、各企業の有価証券報告書および公表データを使って行われた。海外売上比率、海外資産の割合と直接対外投資金額、海外人材の登用、売上全体の伸びの4つの指標の重み付けは下図のとおりだ。

各指標の重み付け

早稲田大学 創造理工学部 経営システム工学科教授 大野髙裕氏

早稲田大学 創造理工学部 経営システム工学科教授 大野髙裕氏は、グローバリゼーション・インデックス」上位10社は、売上比率、固定資産、人材登用の半数以上が海外で、「これらが半分以上であれば、グローバル化が進んでいるといっていい」と説明した。

ランキング上位企業の成功要因としては(1)イノベーション能力のグローバル化、(2)顧客リーチ力を高める、(3)事業のポートフォリオ化、(4)全体最適による効率化、の4つがあるという。

(1)イノベーション能力のグローバル化とは、その地域の嗜好やニーズにあった商品を提供していくことで、武田薬品工業のグローバルな研究開発拠点では、社内ネットワークのみならず社外リソースを戦略的活用するようなオープン・イノベーションによる製品開発を行っており、世界中に21カ所の研究開発センターを設置しているという。

(2)顧客リーチ力を高めるは、進出する現地市場の顧客ニーズに合わせた製品を提供することや、新興国市場で顧客にリー チするための販路開拓していることで、トヨタ自動車はグローバル展開するモデル(レクサス、カムリ、カローラなど)だけではなく、各現地 市場の顧客の嗜好やニーズに合わせた特定の市場向けモデルを展開している。現地顧客ニーズに合った車を販売することが、結果グローバルでの持続的な成長につながるとして、各地域の現地法人への権限移譲も進めているという。

(3)事業のポートフォリオ化はM&Aなどにより、自社の事業領域の多角化や変革により、急速に変化する経営環境においても柔軟に対応することだという。例えば、TDKは停滞する家電市場への依存度を下げ、自動車向けの電子部品供給を強化。様々な買収をグローバル規模で実施しており、2008年にはドイツの部品メーカーであるエプコス社を 2008年に買収し、需要の高い自動車向けセンサー技術を手に入れているという。

(4)全体最適による効率化は、グローバル規模で最適化されたオペレーション基盤によって高いコスト効率を実現することで、例えば、生産能力のグローバル化シフトを推進することだという。日産自動車は徹底した生産の現地化によって、インド市場におけるダットサンや中国におけるリーフなど、成長市場で競争力のある価格で製品を提供しているという。

アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 石川雅崇氏

アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 石川雅崇氏によれば、グローバル化を行うには、現状のビジネス基盤をもとに成長する「自立的な成長」、M&Aなどによる「買収・提携による成長」、買収等で拡散したポートフォリオを整理・縮小する「事業ポートフォリオの組み換え」、グローバルで統合されたオペレーション基盤を導入する「グローバルオペレーション基盤による事業拡大」の4つのステージを通して達成するといい、同氏は「欧米のグローバル先進企業に比べ日本企業は周回遅れ」と語った。同氏はその要因として、ITを含め、オペレーションの標準化が遅れている点を挙げ、その原因としては、企業のガバナンスが劣ることが考えられると説明した。

グローバリゼーションへのアプローチ