IDC Japanは3月10日、2013年第4四半期(10~12月)および2013年通年の世界HCP(Hardcopy Peripheral:プリンター/複合機/コピー機等)市場における出荷台数の実績値を発表した。同四半期の世界HCP市場は回復傾向が続き、出荷台数3170万台、前年同期比2.0%増となり、2013年通年では1億1170万台、前年比1.6%の減少にとどまった。

2013年第4四半期における世界HCP市場の成長要因の1つは、レーザープリンタの好調ぶり。同四半期は前年同期比4.5%増、2013年通年でも前年比3.6%増だった。

もう1つの要因は、ベンダー上位5社のうち3社、特にHPとブラザーが精力的にマーケティング活動を展開したことだ。HPはチャネルサポートを拡大、価格やインセンティブ(HP販売奨励金プログラムなど)を柔軟に設定することができるようにした。ブラザーは、2013年に複数の製品を投入することでモノクロレーザーでの存在感を高めることに成功し、かつてないほどの競争力を持つにいたったという。

IDC ワールドワイド ハードコピーペリフェラルトラッカー プログラムマネージャーのフォン・ハン氏は、「2013年は大手HCPベンダーにとって比較的良い年となり、ほとんどのベンダーが一定水準の成長率を回復している。この回復傾向は2014年も緩やかながらも着実に続くとみている」と述べている。

地域別では、二大市場である西欧、日本を除くアジア太平洋(APeJ)において、2013年第4四半期の出荷台数はそれぞれ前年同期比5.5%増、7.3%増であった。2013年通年ではAPeJが前年比1.5%増加したのに対し、西欧は0.4%の微減となった。

インクジェットは出荷台数減に

インクジェットの第4四半期の出荷台数は1960万台を超え、市場全体で62%のシェアを占めている。出荷台数の視点からは、インクジェットがHCP市場における主要テクノロジーであることがわかる。しかしながら、世界全体のインクジェット出荷台数は、同四半期に前年同期比1.1%減少し、2013年通年では前年比4.9%減少した。一方で西欧は第4四半期に前年同期比で8.0%増加と、堅調に伸びを示している。

インクジェットに対して、レーザー全体の出荷台数は第4四半期に前年同期比で3四半期連続の成長を記録した。第4四半期は、カナダと中東欧(CEE)を除くすべての地域で前年同期から増加している。中東・アフリカ(MEA)が前年同期比31.5%増で成長を主導し、10.1%増のAPeJ、7.5%増の米国が続いている。

HPがシェアを更に伸ばす

HPは第4四半期の出荷台数が1260万台を突破し、四半期別の総出荷台数では2011年第4四半期以来の最高値を記録するなど、市場において優位なポジションを維持している。前年同期比では5.4%増となり、世界市場全体に占めるシェアは約2ポイント増加して40%近くになった。第4四半期は世界8地域市場のうち5つの市場で前年同期から増加している。2013年通年においても好調に推移して前年比0.9%増となり、市場平均成長率を2ポイント超上回った。

第4四半期と通期の世界プリンタ市場 ベンダー別シェア

キヤノンは第4四半期の出荷台数が650万台を超え、HCP市場全体に占めるシェアは20.6%となり第2位の座を維持した。前年同期比では6.2%減少し、市場シェアも2ポイント減少したが、8つの地域市場のうち3つの市場(西欧、カナダ、米国)で前年同期から増加している。第4四半期の出荷台数は前年同期比で減少したとはいえ、2013年通年では前年比0.4%増加した。

エプソンは、第4四半期の出荷台数が前年同期比8.6%増の490万台に達して第3位の座を確保し、シェアは前年同期比1ポイント増の15.4%になった。しかしながら、2013年通年では前年比7.7%減少している。地域別に見ると、第4四半期は8つの地域市場のうち5つの市場で前年同期から増加した。同四半期の業績が際立って好調だった市場は西欧と米国で、西欧は前年同期比24%増、米国は同19%増だった。

ブラザーは第4四半期の出荷台数が240万台近くに達し、シェア7.5%で第4位になった。2013年通年の成長率も前年比8.4%となり、上位5社中で最高の伸び率。レーザー部門の成長が力強さを増したことで前年同期から12.0%増加(インクジェット:前年同期比6.8%増、レーザー:同16.7%増)、中南米を除くすべての市場でプラス成長を記録し、上位5社のうち最高の成長率を達成した。中南米ではアルゼンチンとベネズエラにおいて、ほとんどのベンダーが厳しい事業環境に直面し、ブラザーもその例外ではなかった。

サムスンは第4四半期の出荷台数が130万台を超え、第5位になった。前年同期比8.9%減、市場シェアは同0.5ポイント減の4.1%となっています。8つの地域市場のうち4市場(APeJ、カナダ、MEA、米国)で前年同期から増加したが、3市場(CEE、中南米、西欧)での減少を埋め合わせることはできなかった。2013年通年では前年比3.5%の減少である。