セイコーエプソンは2月26日、温度補償水晶発振器(DTCXO)を内蔵したリアルタイムクロックモジュールとして、AEC-Q200に準拠した車載向けの「RA8900」シリーズ2品種、民生機器向けの「RX8900」シリーズ2品種、計4品種を発表した。

近年、スマートメータ、金融システム、セキュリティなど、時刻情報を基に稼働する多くの民生システムやアプリケーションでは、時刻情報に対する高精度な管理が必要となっている。また、カーオーディオ、車内時計やメータなど車載用途のような周囲温度変化の激しい環境下でも、時刻ずれの生じない高精度化の要求が高まっている。さらに、電子機器の集積化や小型化の加速、ユーザーの環境負荷低減の意識向上を背景に、様々な市場においてデバイスの高精度化、小型化、低消費電流化の要望が出てきている。

しかし、水晶振動子、発振回路、時計用ICの組み合わせからなるリアルタイムクロックモジュールは、一般的に、構成される部品の小型化や高密度での実装を進めるほど、精度の維持、向上が難しくなる傾向にある。そこで今回、独自の高精度な音叉型水晶振動子を製造するQMEMS技術と、その振動子を最適な条件下で駆動する回路製造技術(半導体技術)を活用することで、高精度、小型を両立させつつ、消費電流を従来製品「RX-8803SA」と同等レベルの0.70μA(Typ.)に抑えたという。

これら4品種は、すべて工場出荷時に周波数精度を調整、保証した上で出荷される。このため、ユーザーは使用時に周波数チューニングを行なう必要がないため、大幅な設計の効率化、品質の向上を図れる。

なお、各シリーズのパッケージサイズは、エプソンのリアルタイムクロックモジュールで最小となる3.2,,×2.5mm×1.0mmと、サイズ互換性を持つ10.1mm×7.4mm×3.3mmの2種類を揃えており、幅広い市場における電子機器の時計・クロックの高精度化などの要望に対応できるとしている。

エプソンのDTCXOを内蔵したリアルタイムクロックモジュール