ノベルは2014年2月25日、SUSEのエンタープライズ向けプライベートクラウドソリューションSUSE Cloudの最新版「SUSE Cloud 3」の提供を開始した。最新版はOpenStackのHavanaをベースとし、同プロジェクトのオーケストレーション機能(Heat)およびテレメトリ機能(Ceilometer)をフルサポートする。

SUSE Cloudは、IaaSプライベートクラウド構築に向けた企業向けOpenStackディストリビューションである。KVM、Xen、Hyper-Vに加え、最新バージョンよりVMware vSphereをフルサポートし、柔軟性が向上した。これによりユーザーは、既存の仮想化データセンターを生かしたプライベートクラウドを効率よく展開できるようになる。また発表によれば、High Availability機能についても、追加リリースを予定しているという。

SUSE Cloud 3の主なアップデートは以下のとおり。

  • インストールの自動化 : SUSE Cloud 3はCrowbarプロジェクトをベースとしたインストールフレームワークを搭載し、クラウドインフラの管理および展開を自動化している。SUSE Cloud 3では、OpenStack Grizzlyベースの前バージョンからのアップグレードにも対応できるようになった。
  • VMware vSphereへの対応 : 大規模にVMware vSphereを導入している企業は、既存の投資を活用しながら、OpenStackをベースとしたSUSE Cloudのエンタープライズレベルの機能やそのオープンさを生かせるようになった。またSUSEは、VMware NSXによるネットワーク仮想化もサポートする。
  • 新しいオーケストレーション・モジュール : SUSE Cloud 3のオーケストレーション・モジュールは、事前に設定したテンプレートに基づき、複数の仮想マシンの制御とコーディネーションを自動化する。このオーケストレーションを通じ、特定のアプリケーションに必要なサーバ、フローティングIP、ボリューム、セキュリティグループといったインフラ・コンポーネントを、これらのリソース間の関係とともに識別でき、クラウドのプログラム化された管理を容易する。
  • 新しいテレメトリ・モジュール : インフラ・リソースおよびユーザによる利用量を計測し、クラウド稼動をメータリングならびにモニタリングする。収集したデータは、課金システムに送り込むことができるため、エンドユーザへのサービスを向上させ、パフォーマンスを確保し、クラウドインフラ運用の管理負荷が低減する。テレメトリモジュールは、オーケストレーション機能の自動スケーリングサービスと連動し、必要に応じてリソースを増加あるいは減少できる。
  • クラウドパートナとのエコシステム : SUSEは、ユーザーの既存ソリューションの統合や個別のニーズに対応できるよう、OpenStackのコミュニティに参加する企業と協力して、付加的な機能で補完できるプライベートクラウドプラットフォームを提供する。SUSE Cloud 3では、OpenStack Block Storage(Cinder)とOpenStack Networking(Neutron)、そしてこれらのプロジェクトのプラグインモデルをサポートしている。また、すべてのOpenStack APIをサポートしているため、クラウド環境におけるパートナーソリューションの展開が容易となる。