私はいちおうライターを名乗って生計を立てている者なのだが、よく筆記用具を忘れる。というよりも、筆記用具を持つ習慣がそもそもないといった方がいい。もしこれが20年前だったとしたら、大変なことだ。ペンを忘れるライターなんて飛べない豚どころの騒ぎではない。

幸い現代ではPCとスマホさえ持っていればだいたいの仕事はこなせるのだが、とはいえやはりペンが必要な時というのはそれなりにあるものだ。ささっと素早くメモしたいときは、まだまだスマホでは手帳とペンのスピードにはかなわない。

ペンは必要。だが、よく忘れる。

そんな社会人としてダメダメな生活を送る私のもとに先日、編集部から朗報が届いた。

iPhoneやスマートフォンのイヤホンジャックに格納が可能なボールペン「Jackpen(ジャックペン)」なる製品が、KODAWARIから発売されたというのだ。イヤホンジャックに格納可能と言われてもピンとこない人も多いと思うので、まずは実物をご覧いただこう。

色は4種類

かなり小さい

こちらが「ジャックペン」である。見ての通り、本体はかなり小さい。といっても、これだけだと大きさがイメージしにくいと思うので、iPhoneと並べてみよう。

いかがだろうか

どうだろう。iPhoneと比較するとジャックペンのサイズがよくわかると思う。小さい。とにかく小さいのである。ちょっと放置していたらなくなりそうなサイズだ。

こんな風に格納できる

なので、こうやって収納するのである。そう、ジャックペンは普段、使わないときもイヤホンジャックに挿しこんで格納しておけるのだ。携帯性の点で、これはかなり便利である。

じゃあ使うときはどうするのかというと、

こうします

挿しこむ方向を逆にして、こんな感じに挿入する。逆側にはストッパーがあり、ここで止まるようになっている。触ってみるとかなりしっかり固定されていることがわかるだろう。これが「ボールペン形態」だ。

書ける! 書けるぞ!

使い方に関しては特に説明するまでもないと思うが、先っぽがボールペンになっていて、普通に使うことができる。粘着性のあるインクを採用しているのでインク漏れはないという。

けっこうスラスラいける

さっそく文字を書いてみたが、なるほど、これは便利だ。そりゃあ専用のボールペンに比べたら多少の書きにくさはあるが、iPhoneが筆記用具になるという利便性を考えれば十分だろう。ボールペンの書き味はなかなか良好。少なくともインクが出づらくて、かすれるなんてことはなかった。ただし、大きさが大きさだけにインク量はさほど多くないので注意が必要だ。といっても30メートルくらいは書ける分量らしいので、緊急用としては十分すぎるが。

個人的には立てた方が書きやすいかな

では、ここからはスマートフォンをどのように持てばジャックペンが一番書きやすいかを検証してみたい。なお、手の大きさなど個人差があるため、あくまで参考ということでご覧いただければ幸いである。

STANDARDスタイル

まずは、もっともスタンダードだと思われるこの持ち方だ。「STANDARDスタイル」と名づけよう。パッケージにもこれに近いイラストが描かれているので、無意識にこの持ち方をするユーザーも多いと思われるが、個人的にはちょっと微妙だ。これだとiPhoneの重量で手がふらついてしまい、力が入りにくいのだ。

REVERSE STANDARD

そこで提案したいのが、iPhoneを裏返し、ジャックペンをあえて紙とは遠い方に持っていく「REVERSE STANDARD」である。この持ち方のポイントは、中指をiPhoneの底面に持ってきて、下側から全体を支えることができる点だ。また、全体的にペンが立つので、より書きやすくなる……気がする。

WESTERN GRIP

これをさらに応用して、ペンに指が当たらんばかりに深く握りこむのが「WESTERN GRIP」である。さらに安定感は増すが、かなり深く握りこむため、軽快さは失われる。揺れる車内など、丁寧に文字を書いていく場合に使っていきたい。

DEKU-NO-BO~木偶の坊~

握りこむほど良いというわけではない。この持ち方「DEKU-NO-BO~木偶の坊~」はかなり書きにくく、安定感もないという、あまりオススメできないスタイルだ。ジャックペンの支柱となるべきiPhoneが何の役にも立っていないことから、この名が付けられたとされている。

……いやまぁ名前の由来とかはぜんぶウソだけど、とにかく私が言いたいのは、ジャックペンは緊急用のツールとしてはかなり便利だということだ。さすがにいくらiPhoneとはいえ、ペンの持ち手にするには形状的にかなり無理があるが、それでも必要なときにペンがなくて焦るよりは300%マシである。普段は普通のペンを持ち歩き、たまたま持っていないときや忘れてしまった際の保険としてジャックペンを付けておくといいだろう。

ペンがついたストラップなんかもないわけではないが、iPhoneやスマホはストラップなしで使っている人も多いだろうし、わざわざそのためだけにストラップをつけたくはない。ジャックペンはそういう人に向けて、実にうまいところを突いた製品だと思った。何しろイヤホンジャックの中に格納してしまえるくらいコンパクトなのだからね。