東日本大震災後の福島の家族のドラマを描いた『家路』の完成披露プレミア上映会が20日、東京・新宿ピカデリーで行われ、主演の松山ケンイチ、内野聖陽、久保田直監督が出席した。

『家路』の完成披露プレミア上映会に出席した松山ケンイチ(中央)、内野聖陽(左)、久保田直監督

同作は東日本大震災によって故郷を失ったある農家の家族の姿を描いたヒューマンドラマ。故郷を失い絶望の中で生きていた兄(内野)と母の元に、20年近く前に故郷を飛び出したまま音信不通だった弟(松山)が戻ってきた事から、バラバラになっていた家族が再びひとつになっていく姿を描く。3月1日より新宿ピカデリーほかにて全国公開する。

今月ドイツで開催された「第64回ベルリン国際映画祭」に正式出品され、久保田監督と共に現地に赴いた内野。舞台挨拶で映画祭の様子を振り返り内野は、「映画祭自体もドイツも初めて何もかも新鮮でした。ドイツ人の生真面目な国民性というか、原発への関心度も高いのですごく集中して最後まで観ていた感じです」と海外での本作への関心の高さ紹介した。

続けて、内野が「ベルリン映画祭というと、途中でつまらないと帰っちゃう人もいるそうですが、今回1人2人いたくらいかな? でも、それでもすごいことらしです」と好印象で迎えられた様子を語ると、久保田監督も「拍手がものすごく温かくてうるっと来ました」と感慨深く回顧。日本のニュースでは内野が涙を流した様子も報じられていたが、涙の理由について内野は「自己満足の涙ではなく、この作品を通して福島のことを思っていました」と説明した。

一方、映画祭の様子を2人から聞いた松山は「現地の方々の雰囲気みたいなものを感じたかったし、どんな質問が出てくるのかも楽しみにしていました」と参加できなかった事に残念な思いを口にしつつ、「でも、おふた方に行っていただいて、充実した日々を送っていたみたいですので、僕もすごくうれしいです」と笑顔。内野が「客席の女性の方が『今日、松山ケンイチ君は来ないんですか?』って質問もありました」と海外の松ケン人気も紹介すると、松山は「サクラじゃないですよね?」とびっくり。すると、内野は「ドイツの方です」と本当にあったことだと説明しつつ、「ちよっと不快ですけど」とチラリとジェラシーをのぞかせて笑いを誘っていた。