積水ハウス、マッスルの2社は2月17日、住宅内におけるロボット技術の応用に関する共同研究・開発を開始することを共同で発表した。

内閣府の「高齢社会白書H25年度版」によると、65歳以上の要介護者等認定者数は、2010年度末で490万人を数え、2001年度末から203万人増と急速に増加している状況で、また男性の42%、女性の30%が「自宅での介護」を希望している。いつまでも我が家で快適に暮らしていきたいという高いニーズがある反面、老老介護や介護者の負担の増加などが社会課題となっているのが現状だ。

これらの課題解決のため、両社は人にやさしいロボット技術の導入による高齢者在宅介護の支援や、人とロボットの双方の得意分野を活かすことができる住空間、自然に共存できるロボットのあり方などについて、マッスルの移乗システムを積水ハウスの顧客の住宅や介護施設に販売するといった業務提携も視野に入れながら、共同研究・開発を行っていくとしている。

あくまでもロボットと要介護者ではなく、そこに介護者などの人が介在することで、人のぬくもりのある介護が可能になるという考えのもと、介護者の手のように扱えて、負担を軽減する移動介護ロボット技術を活用して、要介護者のお風呂(画像1)などの水回りや庭などの戸外空間へのスムーズな移動(画像2)を可能にする空間設計について検証する。

画像1(左):ロボット技術を応用した介護者の負担が少ない入浴のイメージ。画像2(右):同じく戸外空間へのスムーズな移動のイメージ

また、マッスルのモーションコントロール(制御システム)技術を活用し、「HEMS」での温熱環境制御に合わせた開口部の開閉自動制御のほか、設備機器類の高さ制御、玄関の段差の解消など、住宅の可変性の向上についても共同研究・開発を行う。

積水ハウス総合住宅研究所 納得工房の施設を中心に、ロボット技術が活かせる住空間について共同研究・検証を開始し、2014年内には、実際の居住空間での検証を行い、その後、積水ハウスの顧客によるモニター実証実験などを実施、2015年末をめどに「共創」による技術の実証やビジネスモデルの確立を目指すとしている(画像3)。

画像3。共同研究・開発ロードマップ

両社は人々の生活向上という共通理念のもと、ロボット技術と住空間設計の融合による生活の質の向上をテーマに、研究・開発を進め、成果を定期的に発信していくとしている。