安川電機は2月4日、同社が2015年ビジョンに掲げるロボティクスヒューマンアシスト事業領域の拡大を目的とした、下肢(足・脚部)のリハビリテーションを提供する下肢用リハビリ装置「能動型下肢用他動運動訓練装置」、通称「LR2(Leg Rehabilitation Robot)」(画像1)を製品化したことを発表した。

画像1。LR2を利用している様子

LR2は、九州大学病院との共同研究により同社が2005年に製品化したベッドサイド型の下肢運動療法装置「TEM LX2TypeD」を、近年のニーズを盛り込みリニューアルしたものである。主な用途は、脳血管疾患患者および整体疾患患者向けのリハビリテーション、高齢者向けの運動機能の回復や維持のための運動などで、2014年3月から販売開始の予定だ。

超高齢社会の到来による医療・福祉現場での介助者不足のため、ロボット技術を応用した装置の活用が国策として期待されているのは、多くの人が知るところだろう。同社が今回LR2をリニューアルして再販するのも、そうした時代のニーズに応えることが狙いだ。LR2の活用でリハビリの量や質の安定化、介助者の負担軽減や要介護者の自立支援に貢献するとしている。

LR2の主な特徴は、以下の4点だ。1つ目は、6種類の運動パターンに対応していること(画像2)。下肢の3大関節(股、ヒザ、足首)の協調動作制御が可能であり、理学療法士の熟練の技術を再現した滑らかで綿密な動きが、人と装置のコンビネーションによって可能となるとする。2つ目は、リハビリテーションのオーダメイドが可能なこと。理学療法士の基本動作を再現する標準モードのほか、各種補正機能を搭載。利用者の1人1人に合わせてリハビリ動作を設定・保存・再利用できるとした。

画像2。6つの運動パターン

3つ目は、特徴的な動作だ。同社が得意とするモーションコントロール技術を活かし、中間速度の調整、保持時間と角度の漸増(ぜんぞう)といった複雑な動きを実現する。利用者に負担をかけず効果的なリハビリテーションを行う仕組みだ。そして4つ目は、安全・安心設計。LR2は動作中、さまざまなセンサが常時監視しており、安全を確保する設計となっている。また、非常時に備えて利用者が機器を停止できる緊急停止ボタンも標準装備。

販売計画は、まず詳細な国内での販売開始時期が3月20日となる。海外への販売は、中国(現地の医療機器登録を予定)から順次展開していく予定とした。目標販売台数は、2014年度は100台で、2015年度は300台としている。販売価格は、オープンだ。

今回のLR2をきっかけとして同社は今後、リハビリ・福祉機器市場に向け、同社がこれまで培ってきたロボットおよびモーションコントロール技術を活かしたヒューマンアシスト製品を開発し市場の創出を図っていくとしている。