世界有数のコンピューター囲碁ソフト「Zen」を破った張豊猷八段

プロ棋士やアマチュアのトップ棋士、そして政治家の小沢一郎氏が囲碁でコンピュータと対局する「第1回囲碁電王戦」が11日、東京・日本棋院で開催された。

第1回電王戦は2月11日、16日の2日間にわたって行われるが、初日となる11日はプロ棋士の張豊猷八段(32)と平田智也三段(19)が、「第5回UEC杯コンピュータ囲碁大会」優勝をはじめ、各大会で25回の優勝実績を持つ世界有数のコンピューター囲碁ソフト「Zen」と対局した。

対局は9路盤の互先(コミ6目半)で行われ、平田三段と張八段がそれぞれ3番勝負で「Zen」と対局。先に2連勝して勝ち越すと、その時点で終了となり三局目は行われない。持ち時間は各20分で、使い切ると30秒の秒読み。黒番白番は最初ににぎりで決定し、以降は黒と白を交互に入れ替えるルールとなっている。

対局の結果は、4戦してプロ棋士が全勝。それぞれの対戦結果は下記の通りとなる。

◯ 平田智也三段 - Zen ● 白中押し勝ち
● 張豊猷八段  - Zen ◯ 黒半目勝ち
● 平田智也三段 - Zen ◯ 黒中押し勝ち
◯ 張豊猷八段  - Zen ● 白中押し勝ち

対局を終えた平田三段は「一局目の序盤は研究通りの形になったので、これならいけるんじゃないかと思ったのですが、僕の方にもミスがあり、はっきり負けの場面もありました。勝ててホッとしています」と対局を振り返り、対局したZenの実力については「9路盤ではプロと互角の力があると思います。19路盤では今は明らかにプロの方が強いですが、いずれ同じくらい強くなるのではないかと思います」と話している。

「勝ててホッとしています」と対局を振り返った平田智也三段

そして、張八段は「一局目は黒番で作戦が立てやすかったです。事前研究の成果が出ました。研究していなければけっこう苦労したと思います」と対局を振り返る。人間とコンピュータとの違いについては「人間なら長年やっているので、ここはこう打つといった(共通の)感覚がある。コンピュータにはそれがないので、人には考えつかないような手でプロの盲点をついてくることが多いです。ただ、今回はその考えつかないような手を打つ性質が悪い方にいってしまった感じ。今回は運がよかったです」と勝因を分析した。

一方、Zen開発チームの加藤英樹氏は「今回はチャンスらしいチャンスが1回しかなくて、それも生かせなかった。あとはほとんど完敗でした。序盤がかなり研究されていて、Zenの持ち前のパワーが発揮できなかったです。今まではコンピュータの意外性を利用して勝っていた部分があったのですが、それが対策されてしまいました。リターンマッチしたいですね」と悔しさを滲ませていた。

次回の囲碁電王戦は16日、アマチュア日本代表である江村棋弘氏が13路盤で、そして政治家の小沢一郎氏が19路盤で「Zen」と対局する。