計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは2月10日、プリント基板(PCB)製造におけるインピーダンス試験向けアナライザ「Agilent E5063A PCBアナライザ」を発表した。

同製品は、ネットワークアナライザ「ENAシリーズ」の最新機種「E5063A」にソフトウェアオプション「オプション011 タイムドメイン解析用テストウィザード」を追加したものとなっている。

PCBのインピーダンス測定は、モバイル機器などの小型高性能化に伴い、データレートも高速化が進み、インピーダンスに要求される確度が従来の±10%から±5%に向上しており、従来用いられてきた広帯域のオシロスコープではノイズの処理などの問題から性能的に限界が言われてきた。

一方、ネットワークアナライザはキャリブレーション機能を有しており、精度を向上させることが可能なほか、PCBの小型化による短い配線の測定のために求められる高周波に対応することも可能。また、無線通信機能がさまざまな機器に一般的に搭載されるようになりPCBにアンテナがプリントされる場合などもあり、その場合、PCBのインピーダンスに加えて、アンテナ側のSパラメータ計測する必要もあるほか、PCBの測定における高いESD耐性の実現も求められているが、同製品であればそうした測定も1台で行うことが可能となっている。

測定確度を向上させるために測定誤差を取り除く必要があるが、同製品ではPCBと計測器の間にある各種中間コンポーネンツの誤差をキャリブレーション時の値を基準に省くことが可能なため、PCB本来の値により近い形で測定することも可能。また、フルキャリブレーションであっても30秒で補正を終えることができる。

E5063Aの確度検証。NISTトレーサブルな25Ωエアラインに対し、0.1Ω以内の測定誤差を実現

さらに同製品は、インピーダンス測定に不慣れなオペレーターでも容易に測定を実現できるよう、GUI上に表示されるウィザードに従って測定したい項目を選んでいくだけで、自動的に行いたい測定を行うことができるようになっているほか、アジア地域での活用を想定し、日本語や英語のほか、簡体中国語、繁体中国語、ハングル語の合計5つの言語を選択することが可能。

テストしたい項目などをカスタマイズして設定できるほか、測定器の操作に慣れていないオペレータ向けに測定ウィザードに従って項目を選択していくだけで簡単に測定を行うことも可能

加えて、保護回路として18GHzで24.8psのライズタイムを実現した独自回路を開発。各ポートに搭載することで、3000Vまでの静電気耐性を実現している。

USB同軸スイッチを使うことで、最大4ポートにプローブをつなげることが可能なほか、両手が塞がっている場合でもトリガをかけることができるUSBフットスイッチもオプションで提供される

なお、同製品は即日販売を開始。価格は、周波数オプションとして、100kHz~4.5GHz品で195万6349円(税別)、100kHz~8.5GHz品で277万4453円(税別)、100kHz~18GHz品で359万2557円(税別)で、これにタイムドメイン解析用テストウィザード(102万4590円:税別)を組み合わせる形となっている。

「Agilent E5063A PCBアナライザ」の外観と価格