北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)は、集束ガスイオンビーム(GFIS)搭載の微細加工機を設置したと発表した。

金の微粒子に加工されたJAISTの文字

同装置は、日立ハイテクサイエンスによって開発されたもので、半導体製造用マスク修正装置として、最小加工寸法10nm、修正精度2nmの加工能力を有する。集束イオンビームによる微細加工は、細く絞ったイオンビームを直接材料に照射して加工を行う。一般的なリソグラフィ技術で用いられるレジストプロセスを使用しないため、簡便で短時間に加工を行うことができる。

同大 グリーンデバイス研究センターでは、"液体プロセスを利用した画期的な省資源・省エネルギー技術により、電子デバイスを作成する研究開発"を推進している。また、同大 ナノマテリアルテクノロジーセンターおよびマテリアルサイエンス研究科では、"物理・化学・バイオを融合したナノサイエンス・ナノテクノロジー・ナノデバイスの様々な研究"を進めている。これらの研究を推進するために、様々なガスを用いる集束イオンビーム装置は有力なツールであるという。

同装置が有するGFISビームを利用すると、ナノインプリント用モールドの作製やシリコン、化合物半導体、グラフェンなどへの直接超微細加工が可能になり、様々な光・電子デバイス作製が可能となる。このような研究が、産業界における競争力の高い製品開発のさらなる推進に寄与できると考えているとコメントしている。

今後は、同装置の加工性能を高めるため、ハロゲンガスでアシストした窒素イオンビーム、およびヘリウムイオンビーム加工を行えるように準備を進める。また、装置を学内外で有効に活用するため、地元企業を主体として一般企業に同装置と技術を開放する他、同装置を使用して国内外の大学との共同研究を通じた連携により、微細加工技術および微細電子デバイスの基礎研究を推進するなどといった活動を行っていくとしている。

装置の正面写真

GFIS(中央)の写真、周辺には真空を維持するための装置が配置されている

窒素イオンビームによるMoSi膜への加工例、8.9nm幅のライン加工が確認できた