凸版印刷は、同社のオリジナル書体である「凸版明朝体」および「凸版ゴシック体」をもとに、電子出版コンテンツを読みやすくする新書体に「凸版文久体(とっぱんぶんきゅうたい)」と命名し、第一弾となる本文用明朝体「凸版文久明朝」の提供を2月上旬から開始すると発表した。

「凸版文久体」を使ったサンプル

近年、高精細ディスプレイを持つスマートフォンやタブレットの普及、およびネットワークの高速化などを背景としたデジタルネットワーク社会の進展に伴い、電子端末で文字を読む機会が増えている。凸版印刷は、急速に進む電子化の中で、あらためて読みやすさについて考え、これからの情報コミュニケーションを支える情報流通基盤の進展を目的とし、新書体の開発に着手し、読みやすく、作品のイメージが読者の記憶に残りやすい文字の開発に取り組んでいる。

今回開発した「凸版文久明朝」は、本来、文字が持っている大きさや傾き、形などを揃えすぎず抑揚をつけ、人間が文章を読む際の息遣いやリズム感を演出。文字の太さは、スクリーンにおける透過光環境で表示した際に、起筆や終筆、横画などの通常細い箇所がバックライトに埋没しないように、一般的なものより太く設定。

従来の凸版明朝との比較

漢字はオリジナル活字の雰囲気を引き継ぎ、一文字一文字が彫刻刀で彫ったように、少し硬質で主張がはっきりした印象にし、小さなサイズで組んだときにもつぶれにくく、安定感のある可読性を実現した。

仮名は凸版書体の特徴を色濃く表していることから、より忠実にそのデザインを踏襲し、字面は一般的なものよりも2から3%大きくして明朗でおおらかな印象になるよう、アルファベットは、少し硬質な和文と親和性が保てるように新しくデザイン。スクリーンでの表示で適度に映えるように、シンプルなエレメントで構成し、しっかりとした濃度で表示されるようにした。

仕様は、フォントフォーマットがOpenType、文字セットがAdobe-Japan1-6(23,058文字)/JIS2004準拠、IVS対応。対応OSは、Mac OSX10.4以降日本語版/Windows Vista/7/8 日本語版。

使用許諾ライセンスおよび凸版印刷が展開するコンテンツサービスの基盤として提供される。

同社では、2016年春までに計5書体の提供開始を目指している。