愛知県は1月22日、大学などの研究シーズを企業の製品化・事業化につなげる産学行政連携の共同研究開発プロジェクト『「知の拠点あいち」重点研究プロジェクト』の1つである「超早期診断技術開発プロジェクト」において、独自の半導体イメージセンサを用いて血液や尿に含まれる成分を簡単かつ迅速に検査する技術を確立したことを発表した。

同成果は、国立長寿医療研究センターの滝川修 認知症先進医療開発センター室長ならびに豊橋技術科学大学の澤田和明 教授らによるもの。

年々増加する医療費の削減が日本の課題の1つとなっているが、そうした解決策の1つとして、安価かつ迅速に検査を行える方法の確立が求められている。中でも血液採取が簡便にできるようになれば、在宅で誰でも検査が可能になることから、自宅における病気の日常管理や事前診断などの実現に効果をもたらすと考えられてきた。しかし、従来の検査方法は、ある程度まとまった量の血液を、専門的な知識を持つ検査員が採取し、それを高価な検査装置にセットするといった手順などが必要であり、簡単に自宅で、というわけにはいかなかった。また病気の初期段階においては、検査感度の問題で病気を見落とす可能性も指摘されていた。

今回の研究は、こうした課題の解決に向けて行われたもので、従来技術と同様の抗原抗体反応を利用しつつ、反応時に発生する微小な電位の変化を半導体イメージセンサで感知することで、発色度合を測定していた従来技術に比べ、検査時間の短縮と高感度を実現したという。

また、半導体イメージセンサは128×128ピクセル(1万6384マス)で構成されており、各マスで別々の抗原抗体反応を行うことが可能なため、複数の病気の検査を同時に行うことも可能。

半導体イメージセンサ(画素数:128×128ピクセル)(出所:国立長寿医療研究センターWebサイト)

さらにセンシング部では、抗体を取り付けたマイクロビーズを用いることで、抗体を平らに並べるよりも取り付け面積を増やすことが可能となり、抗原抗体反応の感度向上を実現した。

センシングのビーズのイメージ(出所:国立長寿医療研究センターWebサイト)

これらの技術を活用することで、患者は1滴の血液をセンサの血漿分離膜に載せるだけで、あとは装置が30分程度で反応による電位変化を検出してくれるため、自宅で手軽に血液検査が可能になるシステムを構築することが可能になったという。

今回開発された技術の従来技術に対する優位性(出所:国立長寿医療研究センターWebサイト)

なお研究グループでは、今後、検査対象を血液から尿まで拡大していくとするほか、対象とする病気として、すでにアルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβペプチドの高感度検出に成功していること、ならびに国立長寿医療研究センターが専門としている点からアルツハイマー病をターゲットとするとともに、市場ニーズの高い生活習慣病、糖尿病、感染症などの日常管理への応用を進め、最終的には2015年度末をめどに検査キットの実用化を図りたいとしている。

今回開発された技術(左)と従来技術(ELISA法)(右)の比較(出所:国立長寿医療研究センターWebサイト)