ヤマハ発動機は1月9日、新たに開発した高速・高解像度画像処理技術や独自の撮像技術により、高速・高解像2次元検査、高さ・傾斜面3次元検査、4方向アングルカメラによる斜め画像検査のすべての機能を搭載可能としたハイエンド・ハイブリッド光学式外観検査装置「YSi-V」を発表した。

電子基板の信頼性は最終製品の市場価値に直結するため、製造現場においては、人のスキルに依存しない自動検査によるスピーディで正確な実装精度およびはんだ接合の品質が確保できる検査が求められている。同製品は、デュアルレーン生産などの量産ラインにも対応する高速検査性能と、不良品を確実に捉える検出能力、虚報の極めて少ない信頼性を有するインラインタイプの光学式外観検査装置で、表面実装機・印刷機・検査装置など、実装設備のフルラインアップするアドバンテージを活かし、これらの機器と共通の高剛性フレーム、制御技術、画像処理技術、SMT(表面実装技術)対応のコンセプトを織り込み、実装ライン設備の相互連携を可能としている。例えば、実装装置と検査装置を通信連携することでリアルタイムに検査結果をフィードバックする機能により、不良の発生を最低限に抑え実装ラインのトータル性能の向上とスムーズな運用を可能にしている。

具体的には、外観検査の基本である2次元検査では、有効画素数1200万画素の産業用カメラと新設計の高画素対応テレセントリックレンズを採用。さらに、64ビット高速画像処理制御システムの搭載などによる情報処理能力の向上により、視野拡大・高精細と高速化を両立させ、従来の2倍以上の検査能力を実現した。

3次元検査では、視野全域の高さを一括で高速計測できる。部品の浮きや、基板と部品の色味が似ている、あるいはシルクやランドパターンが干渉して異物を抽出できないなど、2次元画像処理では難しいケースでも迅速・確実に検出する。また、高さに加えて対象物の傾斜勾配と方向検出が可能、形状の良否を確実に判定できる。

4方向アングルカメラでは、2次元検査画像の真上からのアングルに加え、独自の撮像技術で4方向斜めから、エラー箇所のみではなく視野内の全品を同時に一括撮像できる。これにより、基板を手に取って4方からチェックするかのような画像を用いて、基板をラインアウトせずに目視検査が可能となり、基板に触れることによる人為ミスの防止や工程数の削減を図ることが可能となる。

また、610mm×560mmの大型基板に対応するシングルレーン仕様と、デュアル610mm×280mm×2・シングル時610mm×W510mm×1のデュアルレーン仕様を選択でき、省スペース性と運用性を高めている。なお、いずれもオプションで長さ750mmの長尺基板にも対応する。

この他、ピンチイン&ピンチアウトでズーム、フリック操作でスクロールなど、タブレット感覚で操作できるタッチパネル搭載フルHD対応TFT-LCD、初心者でもナビゲーションに従って操作するだけで検査データの作成が可能なプログラミングナビゲート、独自開発のOCV(光学式文字照合)技術による新文字認識アルゴリズムなどの新機能により、扱いやすさをさらに向上させている。

なお、同社では、国内で年間120台の販売を目指すとしている。発売は2014年4月1日からが予定されている。

ハイエンド・ハイブリッド光学式外観検査装置「YSi-V」