(提供:東京工業大学)

おいしいものを食べると“まぶた”の血流が増加し、「おいしくない」と感じると鼻や皮膚の血流が低下することが、東京工業大学大学院の林直亨(なおゆき)教授と県立広島大学の鍛島(かしま)秀明助教らの研究で分かった。これを応用すれば、意思疎通の困難な人が“おいしい”と思って食べているのか、客観的に判定できるようにもなるという。

林教授らは、健康な15人(男11人、女4人)にオレンジジュース、コンソメスープ、苦いお茶、コーヒー、チリソース、水を飲食してもらい、顔の皮膚の血流を計測した。また、与えられた味覚の好き・嫌いの程度を、11段階の尺度法を使って表した。その結果、 “おいしい”と感じられた刺激(オレンジジュース、コンソメスープ)には、まぶたの血流が増加した。一方、“おいしくない”と感じられた刺激(苦いお茶)では、鼻や額の血流が低下した。

香辛成分のチリソースは除いて、「主観的なおいしさ」と「まぶたの血流量」には相関関係が認められた。今回の結果は、顔の皮膚血流が味覚に対する好き・嫌いに伴って、特異的に変化したことを示す。これにより、言語を介しない味の評価法や、味の官能評価の新たな手法として期待されるという。

研究論文“Palatability of Tastes Is Associated With Facial Circulatory Responses”は化学誌『Chemical Senses』(ケミカル・センス)に掲載された。