猫のニキビについて

の顎にはときどき黒いブツブツができます。顎ニキビ、ざ瘡(そう)、コメド、アクネ等と色々な呼ばれ方がありますが、獣医師の間ではざ瘡と呼ぶことが多いです。

  • ざ瘡ができている猫

    ざ瘡ができている猫

これはまさしく人間のニキビと同じで、毛穴に溜まった皮脂が黒ずんで顎の下に黒ゴマが付いているように見えるのです。ニキビなので、猫は特に不快と感じていませんが、ざ瘡に細菌や真菌が二次感染すると痒みや痛みがでます。そして後ろ足の爪で掻くと傷つき、ますます悪化していきます。

顎の下が真っ黒になるようなざ瘡は二次感染が起こりやすいので、悪化する前にケアしてあげましょう。

なぜ発生するか?

ざ瘡がなぜ発生するのか、はっきりとした原因は解明されていません。人間のニキビには成長期の男性ホルモンが影響していますが、猫のざ瘡は人間のニキビと違い若齢期だけとは限りません。

皮脂腺とアポクリン腺が顎周囲に密集しているので、それが詰まりざ瘡になるのでは、とも考えられています。猫は顎をスリスリ押し付けてきますよね?あれはアポクリン腺からでるフェロモンを飼い主に付けてマーキングしているのです。また、グルーミングの習慣がない猫もなりやすいですね。

ケアの方法

コットンを人肌のお湯で湿らせてゆっくり拭いてあげましょう。ざ瘡をふやかしながら、黒くなった皮脂を取るようなイメージで、時間をかけて拭いて下さい。黒くなった皮脂が頑固で落ちにくい場合は、猫用のシャンプーをお湯に少し混ぜると落としやすいです。ただし、シャンプーが残った状態で放置すると、猫の皮膚に悪いため、シャンプーを使った場合は最後に顎周囲のシャンプーをしっかり落として下さい。

また、一回で全部落とそうとすると大変ですし、猫も飽きて嫌がりますので、何回かに分けてじっくり落としましょう。

病院でケアする場合は、顎周囲の毛を刈ることがあります。ケアしやすくなり、患部が清潔に保たれるので治りが早いです。しかしバリカンの音を怖がって暴れたり、ヒゲまで刈ってしまうことがあるので、飼い主さんが家でやるときは十分注意して下さい。

歯ブラシは使わない方が良い

インターネットでは歯ブラシ等を使って落とす方法が紹介されていますが、おすすめしません。ブラシで擦ると皮膚に小さい傷が作られ、二次感染を起こすきっかけになります。

再発予防

一度ざ瘡ができてしまうと、とても再発しやすいです。その猫の体質によって、ざ瘡が出来やすい猫と全く出来ない猫がいるようです。再発予防としては、黒い皮脂が目立ってきたら早めに落としてあげること、定期的に顎を拭いてあげることです。赤く腫れる前にキレイにしてあげましょう。

ざ瘡は、適切なケアをすれば比較的短期に改善する病気です。上記のケアを数日続けても改善しない場合は二次感染を起こしている、他の病気を発症しているの可能性があります。二次感染を起こしていると、赤く腫れる、膿、べたべた濡れている、出血、脱毛などの症状がみられます。それぞれ原因にあった薬が必要ですので、かかりつけの動物病院に相談して下さい。