JR東日本はこのほど、フランス・パリに本社を置くタレス社に、無線列車制御システム(CBTC)導入のための設計作業を委託することを内定した。今後、設計契約締結交渉を行い、契約締結に合意できれば正式決定となる。

「CBTC」(無線列車制御システム)は常磐緩行線への導入が検討されている

「CBTC(Communications-Based Train Control System)」は、地下鉄・モノレールなどを中心に、世界100線区近くに導入されている無線を利用した列車制御システム。軌道回路で列車位置を検知する従来の方法と異なり、列車がつねに自らの位置を地上装置に無線で送信する方式で、速度制御も地上装置からの無線で列車に送信されるため、ケーブル量が大幅に削減される。日本での導入例はまだなく、JR東日本では常磐緩行線(綾瀬~取手間の各駅停車)への導入検討を進めている。

設計を委託する企業の選定にあたり、2012年6月に公募を実施。提出されたシステム概要などの提案書をもとに、応募があった国内外10社の中からタレス社を含む2社に絞り込み、今年2月以降、2社それぞれと検討作業を実施。検討作業の内容と、2社からの提案書・見積書にもとづき、最終的にタレス社を選定した。

JR東日本は選定の理由について、「機能の実現性、安全性と稼働率、メンテナンス体制、価格などを総合的に比較して判定を行いました」としている。タレス社との契約が完了し次第、同社に対しCBTC導入のための設計作業(おおむね1年間)を委託する予定。設計作業の結果、JR東日本が求めるCBTC機能などが実現できると判断した場合は、引き続きCBTC導入の製造工事を委託する予定だ。常磐緩行線へのCBTC導入は2020年頃になる見込み。