女優の水川あさみが、映画『太陽の坐る場所』(2014年秋公開)で主演を務めることが25日、明らかになった。

左から、映画『太陽の坐る場所』に出演する水川あさみ、木村文乃

同作は、辻村深月の同名小説(文春文庫刊)を、『ストロベリーショートケイクス』などを手掛けた矢崎仁司監督が実写化した作品。高校を卒業して10年後に行われた同窓会で、地元に残った"田舎組"の中心にいるのは、クラスの女王様のような存在で地方局のアナウンサーとなった響子(水川)。しかし、同級生たちの話題は、東京でトップクラスの女優となった今日子(木村文乃)のことばかり。様々な噂が飛び交う同窓会で、それぞれの想いが交錯していく――というストーリーで、キャストは水川、木村のほか、三浦貴大、森カンナ、鶴見辰吾らが出演している。

恋や苦しみ、孤独を胸に秘めた響子を演じた主演の水川は、「人の心の中の微妙な醜い感情がそれぞれに描き出されている。心が締め付けられるような痛い気持ちと甘酸っぱく懐かしい気持ちにもなります」と同作について語り、矢崎監督の一ファンとして、「私の中からどんな響子を引き出し、色付け、面白がっていただけるのか。楽しみでなりません」とワクワクしている様子。一方、"あること"をするために同級生たちの前に姿を現す今日子役の木村は、「何を思っていて、どうしてそういう行動をとるのか。その理由をあからさまに表現しないことが大事な役でもあるので、難しいところはある」と、戸惑いもあるようだが、「監督の中には『こうしたい』という思いがしっかりある。私はその上で、素直に表現してきたいと思います」と語った。

また、原作に惚れ込み、自身で脚本も手掛けた矢崎監督は、「この小説の登場人物たちを、生身の人間で映し撮りたいと強く思った。人の心を抉る辻村文学に、いつか挑みたかった」と、映画化にあたっての想いを語り、「思春期の心の傷の包帯を解き、自分でも忘れていた傷口を太陽にさらすことで、自分の新しい一歩を踏み出していく映画にしたい」と意気込みを。そんな矢崎監督のオファーを受け、原作者の辻村は、「監督は繊細な撮り方をされる印象がありますので、その空気感をどのように切り取ってもらえるのか今からとても楽しみです」と期待を寄せている。