カスペルスキーの研究機関であるKaspersky Labは、2013年第3四半期の電子メールを介した脅威に関する調査・分析結果を発表した。全てののメールトラフィックに対するスパムの割合は、前四半期から2.4ポイント減少し、68.3%だった。その一方で、悪質なスパムの割合は1.5倍以上に増えたという。また、電子メールにより拡散されるマルウェアの大半が、ユーザーのログイン情報やパスワード、金融情報を狙うものだった。

Q3で見られた大きな特徴としては、フィッシングメールの割合が前期比で約3倍に増加したという。Eメール経由で広がったマルウェアのランキングでは、「Trojan-Spy.HTML.Fraud.gen」が再び首位となった。この悪意のあるプログラムは、オンラインバンキングサービスの登録フォームを装ったHTMLページの形で配信され、サイバー犯罪者はそこからユーザーの金融情報を盗もうとするものだ。

ほかにもQ3では、イギリスのロイヤルベビー誕生や、FBIによるエドワード・スノーデン氏の追跡、スペインでの列車事故など、人々の興味を引く出来事が多く発生した。スパマーは、これらすべてのニュースを利用してマルウェアを配信。このような電子メールには、不正なWebサイトへのリンクが張られ、そこから最も有名なエクスプロイトキットの1つである「Blackhole」にリダイレクトされていた。

ただ、10月には「Paunch」という名で知られるBlackholeの作者がロシアで逮捕された。この結果、Kaspersky Labでは、この種の悪質なニュースメールの数は減少するであろうと予想している。

Q3のスパム発信国の国別ランキングには、ほぼ変化がなかった。ボットネットの地理的位置は比較的安定傾向にあるか、あるいはボットネットの積極的な移動が小休止中であると考えられるという。アジア(56.51%)は引き続きスパム送信ナンバー1の地域となり、2位には北米(20.09%)、3位に西ヨーロッパ(13.47%)が続いている。