SAPジャパンは12月12日、ビッグデータから不正リスクを検知する新ソフトウェア「SAP Fraud Management(エスエーピー・フラウド・マネジメント)」の提供を開始したと発表した。

昨今、企業には利益相反取引や保険の不正請求、贈収賄といった取引に起因する様々なリスクが存在しており、売上の5%が不正により消失しているとも言われ、不正発覚による市場のネガティブサプライズ、株価下落は企業に大きなダメージを与える。

こうした背景から新しいソフトウェアでは、大量の取引データを全件分析し、その中から事前に定義された検知ポリシーに基づき、不正の可能性やその兆候のある取引を発見してアラートを通知。発見された不正やそのリスクに対して、発生した位置の地図マッピングや、時系列のグラフ表示、取引間相関関係のネットワーク表示など、不正か否かの判断支援機能に加え、その調査の過程や結果をすべて記録することで、結果を元にした検知パターンの精度分析機能など、不正の発見だけでなく、その後の対応や分析まで含めた一貫した不正リスクへの対応を行う。これにより、不正による財務損失を最小化するだけでなく、再発防止案策定も支援する。

同ソフトウェアは、SAP ERPおよび他システムのデータの両方に対応し、一般的に重要だと考えられる不正検知ポリシーを予め定義したテンプレートも提供するため、スムーズな導入が可能。動作はSAP HANA上で可能となり、大量のデータであっても瞬時に処理を行い、迅速な不正リスクを発見する。さらに、不正検知のポリシーはユーザーが独自に定義することができ、企業の状況に応じた最適なポリシーを設定できる。

また、シミュレーション機能を備えたことで、不正検知のポリシーの修正・改善を継続的に行え、誤検知数を最小化し、不正発見のコストと労力を最小化、さらには、SAP ERPと連携することで、不正を検知すると後続の支払処理をブロックし、不正を未然に防ぐ。経営トップの意思やリスク管理ポリシーを確実に業務プロセスに組込み、グループ全体の健全な成長を支える基盤とすることが可能になる。

SAPのGRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)ソリューションの製品群の一つとして位置づけられており、不正パターンの洗い出しやルール策定を支援する「SAP Predictive Analysis」や、発見された不正に対する防止策を運用できる「SAP Process Control」と連携することにより、一貫した不正管理の枠組みを提供、さらに、「SAP Fraud Management」は、「SAP HANA Enterprise Cloud」上でも動作が可能となる。