富士通研究所は、スマート端末を用いて自宅のファイルにどこからでも簡単にアクセスを可能にする技術を開発したと発表した。

自宅のファイルに外からアクセスする方法としては、リモートデスクトップ接続があるが、この方法は目的のファイルにたどり着くための手間が大きく、ユーザーに負担を強いていた。また、クラウドサービスと連携したNASを使う方法もあるが、この方法ではネットワークストレージ内のファイルにしかアクセスできず、写真、動画、音楽などの閲覧・再生向けに設計されている場合が多く、Office Excel/Wordなどで作成したファイルについては、各ファイルに対応する専用アプリケーションを事前にスマート端末へインストールしておく必要があった。

そこで富士通では今回、端末ごとに実行可能なアプリケーションの種類や端末の状態を管理することにより、選択したファイルの最適な実行端末を決定し、自動実行して閲覧・編集を可能にする技術を開発した。

具体的には、あらかじめ自宅のPCにインストールされた本サービスがPCの状態(電源オン・スリープ)や実行(閲覧・編集)可能なアプリケーションの種類などを管理し、目的のファイルをどの端末で実行するのが適切か判断し、処理手順を決定。

手元の端末のみで実行可能な場合、ファイルのダウンロードおよび実行を処理し、自宅にあるいずれかの端末で実行可能な場合は、遠隔で実行し、リモート接続を処理。両者で実行可能な場合は、端末の接続回線種別やファイルサイズなどの情報から実行する端末を決定する。

処理手順を決定後、本サービスは自宅の各端末に対して必要な手順を実行させる制御コマンドを順次発行し、あらかじめ各端末にインストールされたエージェントアプリケーションがアクセス処理を自動実行する。

遠隔ファイルアクセス技術の概要

なお、必要な端末がスリープ状態の場合には自動的に起動する。また、リモート接続には富士通研究所が開発したリモート端末の画面を高速に転送する技術、RVECを活用している。

この技術により、ユーザーはスマート端末上でファイルを1タップで選択するだけで、どこからでも自宅のPCを自動起動し、対象ファイルへ最適手段でアクセスできる。例えば自宅のPCに保存されたOfficeなどで作成したファイルでも外出先からスマート端末を用いて簡単に閲覧・編集が可能になる。

富士通研究所では、本技術を2014年度中に実用化し、PC、スマートフォン、タブレットなどへの搭載を目指す。