国立天文台は12月6日、すばる望遠鏡に搭載された主焦点カメラで東の空で明るさを増した「ラブジョイ彗星(C/2013 R1)」の撮影に成功したと発表した。

Suprime-Camが撮影したラブジョイ彗星 (C/2013 R1)。ハワイ時間2013年12月3日撮影。波長450nm(Bバンド)180秒露出 (C)国立天文台、データ解析:八木雅文 (国立天文台)

ラブジョイ彗星とは、オーストラリアの天文家であるテリー・ラブジョイが発見した彗星のことで、2011年のラブジョイ彗星(C/2011 W3)に続いて2度目の太陽の再接近となる。近日点通過は12月23日頃、太陽とは0.81天文単位まで近付くとされている。

今回すばる望遠鏡は、主焦点カメラ「Suprime-Cam(シュプリーム・カム)」の特長である視野と空間分解能を活かし、ラブジョイ彗星のイオンの尾がうねりながらのびる微細な構造を鮮明に写し出すことに成功。ハワイ時間2013年12月3日5時30分頃(日本時間12月4日0時30分頃)に、ニューヨーク州立大学や国立天文台などの共同研究チームによって撮影が行われた。観測当時、ラブジョイ彗星は地球から約0.8億km、太陽から1.3億kmの距離にいたという。

なお、すばる望遠鏡はハワイ時間2013年10月31日未明にもラブジョイ彗星の撮影に成功し、核から吹き出すダストのジェットの様子を捉えた。

ラブジョイ彗星の観測に成功したチームの観測風景。一番左が観測責任者の幸田仁さん(ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校)。データ処理担当の八木雅文さん(国立天文台) は三鷹からテレビ会議と計算機を通じて遠隔参加