「SOHO」のコロナ観測装置(LASCO C3)が捉えたアイソン彗星(右下の光跡、中心の丸い部分が太陽)。(提供:NASA/ESA)

アイソン彗星の太陽接近の模様を人工衛星などから観測していた米航空宇宙局(NASA)は29日、接近後のアイソン彗星の姿を確認できず、「分裂して蒸発した」との見解を発表した。

アイソン彗星は日本時間29日午前4時すぎに、半径約70万キロメートルの太陽の表面から120万キロメートルの地点(近日点)を通過すると予想された。しかし、あまりに太陽に近いため、太陽からの熱や重力で、彗星本体が分裂・崩壊する可能性が指摘されていた。

NASAと欧州宇宙機関(ESA)が打ち上げた太陽観測衛星「SOHO」による映像では、アイソン彗星が輝きながら太陽に接近する様子が確認されたが、その後、太陽表面に吸い込まれるように姿が見えなくなった。NASA関係者は「近日点に到達する前に、彗星の核が崩壊し蒸発したとみられる」と述べている。

アイソン彗星は、無事に太陽を周回すれば、来月4日ごろから再び、夜明け前の東の空に姿を見せるはずだった。

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